第4話
僕達は、音楽室の前にいた。
なぜここにいるかというと、吹奏楽を見学しに来たのだ。
「じゃあ、開けるよ!」
「「お、おう」」
僕は、スライド式のドアをゆっくりと開ける。まるで面接の時のように、、
「あ、あの、、一年の西村 修二と申します、えっと、部活動見学で、、、」
そして、ショートカットの似合うお姉さんがやってきた。
「あ、部活動見学ね、OKじゃあ、説明するから、そこで待ってて」
「あ、はい」
僕が緊張していると、田中くんが僕を膝で叩いてくる。
「な、なに?」
僕は小声で言う。
「あの子可愛くね?わかる?あの、奥の」
そこには、ショートカットの似合うお姉さんの、斜め後ろには、眼鏡三つ編みの人がいた、なんだか、吹奏楽というよりも、文芸部や美術部にいそうな、、、
「え!?あれが好みなのですぅ!?」
思わず敬語みたいな、変な風になってしまった。
隣を見ると、口に人差し指を当てた加崎がいた。
そこで僕は結構自分の声が大きかったことに気づく。
僕は慌てて口を押さえる。
そして何事もなかったかのように、正座した。
部活動見学が終わった。結局あれから、ショートカットの似合う先輩が、説明してくれただけだった。
とくにアニメ的シチュエーションは、全くなかった。
「はぁ」
僕はクタクタになって、家に戻ってきた。
「う、ただいま」
僕は前回の反省を生かして、チャイムは、押さなかった。
というか、押せなかったのだ。もうあの時のような、元気は、もうない、昨日のことなのだけれど、ずいぶんと昔のことのように思える。
僕は、帰宅と同時に、カーペットの上に倒れた。
すると、しばらくして、紬がやってきて、僕をなにか、バッチイように、不思議そうに、叩いてくる。
「叩いても僕からは、何も出ないぞ?今何も持ってないのだから」
「いや、なんとなくだし」
と言って、すぐにどこかに行った。
方向から見て、お茶でも飲みに行ったのだろう。
「紬ちゃん、紬ちゃん、僕にもなにか飲み物を、牛乳なんて贅沢言わないから、なんでもいいから飲み物を頂戴、もう喉が渇いて喉が渇いて死にそうなんだ」
「ちゃんを無くしたら、別にいいけど?ちゃんを無くさなかったら、そのまま脱水死してね!」
笑顔で言う、ちょ!怖い!
「ちゃんを無くすからお願い!」
「よろしい!」
「ありがとうございます!」
「で、持ってきたのが、これですか、ちょっと少なすぎませんかね?一センチくらいしか入ってないじゃん!」
「人件費を抜いときました!」
なんとも意地の悪い!
「むむ、でも、ありがと!」
と言って、妹の頭を少し撫で、って、「いた!、なにふるんだよ!もう!」
「気持ち悪い!」
「なんかごめんよ!」
と言って、僕は立ち上がり、自分でお茶をくみに行こうとする。
すると
「私のコップ流しに入れといて!」
「あ、うん」
ちょっとだけびっくりした。
そして僕は、自分でお茶をくみ、のんだ。
「紬は、帰宅部だったよね、何か部活動に入ろうと思わないの?」
「いや、全然、部活動とか面倒だし、お兄ちゃんも、中学校時代、少しだけバレー部やってやめたでしょ!私も一緒で、面倒くさいの!あ、私の場合元々から帰宅部だけどね!」
「僕は、面倒くさいからやめたわけじゃないんだよ?勘違いしてもらっちゃこまる、バイオリンとかとの両立ができなかったからやめたんだよ?」
そう、決して、きつかったからとか、めんどくさいとかじゃないのだ。
「ふーん、まあ、そゆことにしといてあげるよ!私優しいでしょ!」
と、笑顔で言ってきた。
本当に、優しいのか?優しい人なら、そゆことにしといてあげるとか言わない気がするけれど。
「うんうん、やさしいやさしい」
僕は適当に、棒読みでかえした。すると、ほっぺたを、ぷくーっと、風船のように膨らませて
「思ってないでしょ!」
僕は走っていき、妹のほっぺたを、ツンツンした。
物凄く柔らかくて、風船なんかよりももっと、わたのような、このこは、ぬいぐるみなのかもしれないと、僕は思った。
「や、やめ、」
口をふくらましてるから上手く喋ることができないらしい、それは、それで、かわいい、、、
僕はさらにツンツンする。と、急に萎んでいく。
「やめろ!もう!」
おもいっきし、グーパンチされてしまった。流石にこれは、やりすぎた。
「ごめんね」
「うぅ、、、」
そのまま次の日までずっと気まずかったが、次の日になると、忘れたかのように、接してくれたので、それは、幸いだった。
本当に君は優しいよ。
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