第二話 また逃げるんですか〜
“猿夢“
無人駅にいて猿の電車に乗る夢を見る話。
その夢では電車に乗ったあと、アナウンスで「次は活けづくり〜活けづくりです」などというアナウンスと同時に乗客がアナウンスで流れたものと同じ殺され方をする。
最終的には夢から覚めて見なくなった。
そんな実話怪談だ。
そして、私が見ていた夢も“猿夢“なのだろう。
私が知っている情報と一緒だ。
だが私の場合最後まで行かず活けづくりの後夢から覚めた。
この場合はどうなるのだろう?
また“猿夢“を見ることになるのか?
嫌だ。もう一度あの惨劇を見るなんて耐えられない。
あの男性の姿が頭から消えない。
魚の活けづくりのように切り刻まれ、内臓を抉り出されたあの姿を...
(うっ...)
吐き気が込み上げてきた。
私はトイレに駆け込み、嘔吐した。
その日の学校は休むことにした。
体調がわるいので寝たいのだが、また“猿夢“を見るかもしれないと思うと寝付けない。
(もう一回見るとしたら、その一回で“猿夢“を終わらせないと...)
と思い、私はもう一度“猿夢“を見るならそれで終わらせに行くと決めた。
そして眠りについた。
気づけば昨日と同じ駅にいた。
昨日と同じアナウンスと共に電車がやってきた。
(私はこれで“猿夢“を終わらせる...)
心の中でもう一回私の目的を唱えた。
そして電車に乗りこみ、出発した。
昨日と同じ席に座り待機している。
そろそろ来る時間なのだ。
「次は活けづくり〜活けづくりです」
来た...
この後男性が活けづくりのようにされ殺される。
「ギャァァァァァァ!!」
昨日も聞いた叫び声が響いた。
私はそちらを見ないように目を逸らした。
あんなのもう二度と見たくない。
悲鳴が聞こえなくなった頃、またアナウンスが流れ始めた。
「次はえぐり出し〜えぐり出しです」
えぐり出し...どんな殺され方をするの...?
そう考えているうちに始まった。
さっきまで無表情だった後ろの女性の目が小人たちによってえぐり出されている。
吐き気が込み上げてきた。
だが、どうにか耐えることが出来た。
(...話の通り行けば次で終わり.....でも...)
「次は挽肉〜挽肉です」
ウィーンという機械音が聞こえ始めた。
(でも...このアナウンスのターゲットは私になる!!)
どんどん機械音が大きくなっており、風も感じはじめた。
近づいているのだ。
きっと私を挽肉にするための機械なのだろう。
私は目を開けず
(お願い...夢から醒めて...!)
と願い続けました。
「次は挽肉〜挽肉です」
2回目のアナウンス
それは挽肉の準備ができたということだろう。
私のすぐそこで機械音が聞こえる。
(覚めて...!覚めてぇぇ...!!)
と願い続けました。
その瞬間機械音が聞こえなくなり、もう一度アナウンスが流れ始めました。
「また逃げるんですか〜次来た時は最後ですよ〜」
と聞こえ夢から覚めました。
「...“猿夢“から...脱出できたの...?」
私は泣きました。“猿夢“の恐怖と“猿夢“から逃げれた安心で。
「よかった...よかったよぉ...」
こうして2日間にわたる私の“猿夢“は終わりを迎えた。
きっと私が次“猿夢“を見たら、それが私の最後でしょう。
そう考えると怖い。
けどきっともう見ないだろうと信じ、私はいつもの日常に戻った。
ぽぽっ...ぽぽっぽ...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます