第31話
サクラが音楽室ドア前で礼をして歩き始めたので,
俺も礼をして後を追った.
『なぁ,サクラぁ.
八雲って…』
ヒソッとすると,
『うん.周りは気が付くけど,
肝心のクルミちゃんだけ気が付かない.』
コソッとサクラも言った.
「難しいんだな.」
と言ったら,
「そうね.」
とサクラが言った.
「親ガチャって言葉使う?」
「私は使わないわ.
でも,時々使ってる子いるよ.
私は…
いいんじゃないかなって思う.
そう言って,捌け口になるのであれば.
納得して,受け入れて,動き出せるのであれば.」
サクラが言った.
午後からは,数学と世界史だった.
比較的好きだったから,眠たくもならなくて,
時間があっという間に過ぎていった気がした.
ホームルームは,土日何しようかなって思ってた.
ハヤトが後ろから肩叩いて
「サッカー来なかったじゃん。
ボールは回ってこねぇけど、1年が気遣って回してくれる。」
と言った。
「お前それで、いいの?」
と笑うと、
ハヤトもいいんじゃね?と言って笑った。
「じゃあなっ.」
と言ったので、
「またな.」
返した.
リョウがドアから出るとこが目に入る.
「リョウ!」
声掛けた.
「この間,読みたい本って何だったの?」
近づいてきて,
『サッカーのルール』
と小声で言った…
サッカーのルール…
俺もそんなの詳しく知らねぇ…
からかってる?
真面目か?
だいたい,昼休みに試合形式で出来ねぇよ.
場所もねぇし、ピッチ10分で死んでるわ。
「まじか。」
と言うとリョウが笑った。
これは…多分からかわれたな。
「今日は塾?」
「いや、ないよ。
何?帰る?」
「チャリは?」
「置いてく?」
「月曜、困らない?」
「1列で大声出しながら話す?」
…
まぁもっとも。
チャリは置いてく事にした。
「リョウは親ガチャについてどう思った?」
「あぁ見た見た。
元々ゲームしないし、お店のやつもあまり…
何でも周りのせいにする人見ると、
自分の人生生きてないんだなって思う。」
靴箱から靴を取った。
今日は風が強くて曇ってる。
「リョウはめちゃくちゃ成功例でしょ。」
「どうかな。
僕は3番目なんだよね。
そうするとさ、愛玩用なの。
可愛かったらいいみたいな。
上の兄と姉が、優秀だったから。
僕もそれでいいと思ってた。」
学校の門を出る。
駅に向けて歩き出した。
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