第21話

駅前でチャリを拾って,

1時間…もかからないとは思うけれど…

暗くなると,車もそれなりのスピードで走り,

一緒に車道を走るのが怖くなる.

かと言って,歩道走行はルール違反で,

自転車がはねた歩行者の死亡事故も起こっていたはずだ.


コロナ禍…

運動不足を心配した人が,

暑さと人を避けて

日が落ちた後運動し始める人もいるから,

やっぱ歩道走行は危ないわなぁ.


かと言って,車道で自転車と車の接触事故って…

有り得る…

13歳以上だし…無条件に歩道を走って良い訳じゃない…

まぁ,車道狭くて危ないとこもあるし,

用心して歩道を走りつつ,歩行者来たら,

車注意して車道に出て,

また申し訳ないって思いながら歩道を走る方法だな.

ちなみに車と同じ方向を自転車も走らなければならない.

ベルもむやみに鳴らしちゃダメ.


腕時計見ながら,着くのは20時前くらいかなと思いながら,

自転車をこぎ始める.


リョウといると何か楽なんだよな~と思いながら,

何でかな~って.

あぁ,いつもルカとハヤトといると,

無意識にお兄ちゃんキャラしないとな~って思っちゃってたのかもなぁ.

もう,しなくてもいいし,出来ないな.


あっ塾のお試しでスマホ切ったまんまだ.

電源入れときゃ良かったな…

自転車の走行中だから,どちみち扱えねぇし家着かなきゃ無理か.


腕時計を見ると,20時前で読みは当たってた,

完全に俺の勝ちだ.

なんて思いながら,車庫にチャリ突っ込んで,鍵を開ける.

「ただいま~.」

誰もいなくても帰ったアピールはいつもの事…

あれ?何で電気…


「ユウ!!!」

奥から母さんが駆け寄る.

あぁ,そうそう母さんはパンツスタイルで,Tシャツが定番,

なんて思ってたら,表情見逃した.


「心配した!!!母さん,ユウまでいなくなったら…」

肩が震えてた.


「母さん御免.大丈夫だから.今度から必ず遅くなる時は連絡するから.

母さん御免.」

ほんと,何だか壊れたように同じ言葉を何度も繰り返した.


困ったなぁ.連絡入れとけばよかった.

あの日の事を思い出すと,俺も苦しくなるけれど…

いつまで,こんな日が続くのだろう…

ルカを忘れたい訳では無いんだ.

だけど,


何だか重たいなって思ったのも事実で…


俺も父さんみたいに,ごめんって言いながら,

この家を出るのかなとか,ぐるぐる考えた.

俺にも,あの人の血が半分入ってる…








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