第22話
ルカは,買い物の後,父さんの職場に顔を出したらしい.
まだ,父さんも仕事が残っていたので,先にルカを帰した.
こっからややこしいのが,
ルカをはねた人が別部署の嘱託社員だったという事.
なまじっか顔見知りだっただけに,言いたい事を呑みこんだ.
なじって,口汚くののしって,吐き出せていたら…
ちょっとは違っていたのか.
相手は退職したらしいけれど,
父さんは会社に行けなくなった.
毎日,父さんはリビングに座り,魂の抜けた抜け殻のような顔で,
居続ける.
母さんもなりふり構っていられず,
ダイニングで泣いたり,独り言を言って狂ったように笑ったり.
多分,皆精神状態がおかしかった.
皆,限界だった.
でも,生きてる人はお腹が空く訳で,
気が付いたら寝る訳で,
ルカの分の食事見ながら,食事をして,
部屋にいるんじゃないのかって思いながら,
おはよう,おやすみを繰り返して.
俺もハヤトからゲーム誘われて,次第に日常へ戻っていったから,
父さんにもゲームを誘ってみた.
ゆるっと始めて,気が付いたら時々ログインしていたようだけど,
いつの間にか出会い系にはまっていたようだった.
父さんは何も持たず身一つで相手の所へ行った.
父さんは,逃げたんだ.
色んな事から.
父さんのようにはならないって気持ちと,
父さんのようになるんじゃないかって気持ちと,
交差する.
俺は…
父さんじゃない.
そう,父さんとは違う人間なんだ.
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