第14話

「すみません.ただいま戻りました.

店長,休憩有難うございました.

あらっ,ユウじゃない.

来てくれたの?」

奥の方から,母さんが歩いてくる.


「麻木さん,おかえり.

ユウくん,いい子ね.」

店長さんが言ってくれる.


「ちょっと,同級生と待ち合わせしてた場所が近かったから.

母さんにも会えたし,もう行くわ.」


「同級生の渡会リョウです.ユウくんと仲良くさせてもらっています.」

今まで静かにしてたリョウが口を開いた.


母さんが少し驚いた感じで

「ユウをよろしくお願いします.」

とリョウに頭を下げた.

リョウも頭を下げていた.


「麻木さ~ん,コロッケあがったから,ユウくんとお友達に1つずつあげて~.

店長のおごりよ~^^」

奥から店長さんが声をかけてくれる.

「店長,有難うございます!店長特製のコロッケ美味しいわよ~^^」


「店長さん,ご馳走になります!」

俺とリョウは口々に言った.



「どうする~揚げたてがうまいよね.」

と言うと,

「そうだよね…近くで座って食べようか.」

リョウも言ってくれるので,

賛成~と,近くの植木ブロックに座った.

リョウも少し離れて座った.


うわっまじで熱々だ.

「はいっ,熱いから本当に気をつけろよ.」

渡すと,リョウは気をつけながら両手で紙を持った.


「この位置で,『スマイルランチ』のロゴ入りを見せながら,

美味しく食べてたら,お客さんが来るよ.

僕たちはコロッケ分の働きをする.」

リョウが大真面目に言うので,凄いミッション受けた気になった.


自分の分のコロッケも取り出すと,

「やっぱ,そのビニール貸して.」

リョウが言うので渡す.

丁寧に自分のコロッケをビニールへ入れて置いて,

マスクをマスクケースに入れて直した.


俺は顎までマスクをおろす.

もう駄目だ~ホカホカの湯気出て,めちゃめちゃ良い香りのコロッケ持って.

お互いハフハフしながら食べていたら,自然と無言になった.


「美味しいな~ハヤ…」

トじゃなかったわ…

「わるい,リョウ.」


「黙食.」

とだけ言われた.


そういえば,誰かと何かしたの久しぶりだった.

駅前は思い出が多すぎる.

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