第11話

学校は,あっさりリモート一択になった…

拒む拒まざるに関わらず…


朝のホームルームから,制服着て,ノートパソコンの前に座る.

マスクも必要ないからしていない.

部屋に1人.


先生の画面とクラスメイトの顔が並ぶ.

何だかマスクをしている時より息苦しい.

画面が…

画面が歪んで見える…


ポーン!


…先生が俺らのマイクは切っているって言ってたけど…

何?


『-(渡会リョウ)ユウくん大丈夫?リョウだけど.

シークレットチャットの機能は生きてるみたい.』

『-(渡会リョウ)深呼吸して.画面見て.

ハヤトくん,めちゃくちゃ心配した顔してる.

多分,あの子も,サクラさん.

僕もいる.』


深呼吸して,そうだ.

大丈夫だ.

ハヤトもいる.目があった気がした.

俺が頭を掻いたら,ハヤトも頭を掻いた.


サクラも…

いた.

俺が頷くと,サクラも頷いた.


大丈夫だ.

リョウもいる.

大丈夫だ.


ホームルームの後,トイレ休憩.

ハヤトが殴り書いた

『ユウ大丈夫か?』

の文字が揺れる.

大きく〇ってジェスチャーをすると,

次のページに

『安心した』

って書いて見せられた.

笑いながら手を合わせてハヤト神を拝んでみた.


ポーン!

『-(渡会リョウ)14時駅前に来られる?

イエスだったら両手でOK作って.』


14時?駅前?

随分アバウトだけど,する事ないし行ってみるか.


両手でOKマークは大仏になった気分だった…

普通,こんなサイン送らねーよ…


リョウも両手でOKマーク返してきた…


これは…

改善の余地あり…

何にせよ…

だせぇ.


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