第10話

「おはよ.」


「おはよ.あ,ユウくん.

周囲2~3個席空けて,適当に座っててって,先生が.

来たんだ.

リモートを強く推すってノートパソコンに届いてたね.」

リョウが言う.


「強くすすめられたって…

ちょっと1人で家にいられなかったし…」


「一緒.悪いけど,一日中リモートやってられないよ…

午後からは,塾のリモート.選択肢がない.」


リョウも塾行ってるんだ.


「親は?リモートの方が安心って言ってなかった?」


「う~ん,父は朝食後も少し眠ってるし,母も教職だから休めない.

予防策講じながら,対人するしかない業種人はドライだよ.

僕も都合により学校来た.

母は職域でワクチン2回済.父は,まだ予約すら出来ていない.

俺たちも希望者は学校でうってくれたらいいのにね.

最悪,重症化は避けられたらって願うよね.

僕も電車通も止めて,チャリ通申請出して,今チャリ通.

雨の日も風が強い日も.

嫌なヘルメットも,しっかりかぶって偉いよなぁ…

あれさぁ,朝の髪決まっても,着いたら結局ヘルメット型になってて.」

チラッと頭に目がいって,視線に気が付いたリョウが両手で頭を隠した.


お母さん先生なのか…



「ユウ,お母さんね.働きに出るわ.

駅前のお弁当屋さん.お母さん,ほら,何にも出来ないじゃない?

だけど,家族のためにご飯づくりだけは真剣にしてきたから,

ちょっと自信があるっていうか…」


「お母さん,家で家族のために作る事と,作ってお金貰う仕事とは違うくない?」


「違うけれど,違うくないと思うよ.」

そう言って,お母さんが笑ったの思い出した.


今は,まだ人の流れがあるから買ってくれるお客さんがいるけれど,

感染者数が増加すると,宣言が出たり時短要請がかかって,

お母さん家にいる事になるかもと言ってた.

この長雨で野菜も高くなってるし,もう何にせよ節約だな.


「ユウくん!先生来たよ!」

リョウの声が聞こえた.

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