第5話

『ハヤト電話じゃね?』

『いいよ,後でかけなおす.』

『いや出ろ.』

『ん?あぁ,そっか.分かった.

離脱.』

『了解.』


そもそも論,俺一人で軽くクリア出来るよ.

ルカが,ぎゃ~とか, わ~とかグロイ!とか言いながら,

俺の目隠ししてくる中,クリアできるから.

普通,自分の目を隠せよ.プレイヤーの目隠しする方が怖いって.

ハヤトに彼女が出来て良かった.

ハヤトも俺と一緒にいると苦しかったのかな.

誰かといる事が当たり前になると,失うことが怖くなる.


ん?

弾切れか.

思ったよりも早いな.

最初に撃ち込み過ぎたか.

手持ちは?

あぁハヤトに渡したままだ.

画面から血が流れる.

ゲームオーバーだ.

ゲームオーバー…


『ユウ?ごめん待たせた.』

『わるい,維持できなかった.ハヤト弾.』

『あいよ.持ったまんまだったわ.』

『大丈夫だった?電話.彼女?』

『えぇまぁうん.』

『ほ~仲がいい事で.』


『ユウ?』

『何?』

『ユウがあの時,ルカちゃんからの電話とっていても,きっと…

どうしようもなかったよ.多分.いや分からんけど.』

『んあ?いいよ.ありがと.もしもは無いから.

この世界に,もしもはない.

俺は,あの時,ルカの電話を取らなかった.』


そう,電話を取らなかったんだ…

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