第6話

『あとさ、ユウ?』

『何?のろけなら聞かない。』

『いや…う~ん。』

『はよ。はよ言って。何?』

『お母さんがさ…成績悪いの気にしててさ。

このままだったら行ける大学無いって心配しててさ。

俺…

塾に行くわ。もう、こうやって、ユウと気軽にゲーム出来なくなる…』

『あぁ分かった…』

『ユウ?

おい、ユウ?

納得早くない?

引き止めないの?』


引き止めるも何も…

どうせ、引き止めても確定事項は変わらないんだ…

逝くなって言っても、ルカは逝ってしまったし。

父さんだって…

行かないでって言ったところで、ごめんって言いながら去って行った。

いつだって…

届かないんだ。


『親の言う事は聞いておいた方がいいよ。聞けるうちはさ。

親孝行は出来るうちにしとけよ。』

『何、じいさんみたいな事言っちゃってんのよ。』

『大事な事だからさ。』

『ふぅん。』

『ハヤトもルーと一緒の塾なの?』

『それがさぁ、ルーに、どこ行ってんのって聞いても言わんのよ。』

『言ってないんじゃね?』

『かもなぁ。いや、知らんけど。』

『まぁ…頑張れよ。』

『ユウは、いいよな。ゲームこんだけしてても、優等生で。

出来ない奴は理解できないでしょ。大学だって、2トップ勧めて貰えてるだろ。』

『…うちは母子だから。学費は出すって父は言ったけれど…

もう向こうにも家庭があるし。

普通に生きられる、お前が何より羨ましいよ。

もう今日は、これで終わり。

じゃあ明日。またな。』


電源落として、ヘッドホンを置く。

は~あぁぁぁ。

溜息しかでねぇわ。

俺だって、あがいてる。

塾なんて、行けない。

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