第84話 SSBCと鑑識からの報告をもとに地取りへ
「なにをぼんやりしてる。ちゃんと聞いてんのか? しゃんとしろよ、しゃんと」
耳朶に響いたのは有賀太一警部補の声。
となりの曽山に思いきり肘で突かれた。
「遺留品のひとつ、林美智佳の携帯電話から削除されていた履歴が判明した。依頼しておいたSSBC(警視庁の捜査支援分析センター)からの返答だ。最も送信回数が多い相手は佐々木豪。最後の電話は、事件当日の午後3時半の、竹山俊司からの受信だった」矢崎刑事課長の発表に、捜査員一同、顔を見合わせる。
「それから、鑑識からの報告によれば、スケジュール帳に手で破ったような紙片が挟んであり、そこに『1~3%』という書き文字が判読された。筆跡鑑定の結果、林美智佳の字に間違いない事実が明らかになった」再び捜査員に声なき声がわき起こる。
ふたつの物証は、なにを意味するのだろう。
錯綜する人間模様を解析し、事件の裏に潜む愛憎を分析するのが事件解決の早道であるが、科学捜査が主流の現代も有賀太一警部補お得意の地取りがモノを言うのだ。
――ようし、やってやろうじゃないか。
貫太郎は高砂警察署の中堅刑事として、大いに気を吐く思いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます