俺って運気が見えるんだが、それで神様から異世界に招待されたけど帰りたい件

ルンルン太郎

第1話

 鈴原零は街を歩いていた。彼の目的地はコンビニ。ゲームに課金する為のカードを買いに行くためである。クレジットカードはあるが、現金を引き出して直接支払わないと使った気がしなくて嫌らしい。

 彼には宝くじ200万を当てた金がある。それと合わせた退職金が80万円。宝くじを当てたとはいえ、会社を辞めてしまったのである。

 元々は大企業であったが、上司の嫉妬による罠に掛かり会社に居られなくされた。転職した先は残業が多いブラック企業だった。面接の時には腰が低くて印象が良かったのにと彼は落胆していた。

 そこで数年耐えて、0時に家に帰って、風呂に入り、食事をして眠るだけという生活で預金残高だけ増えて使う暇がない日々を送っていた。そんな修行のような中、ある日の事事件が起こった。

 いつものように会社に行くと、社員全員から黒いオーラが見えたのだ。自分の肩からも白いオーラが見えた。仕事を終えて街を確認すると、パチンコ屋から出て来て笑顔の客は黄色に輝くオーラが見え、恋人達はピンク色だった。それに慣れてくると、幸運が黄色。恋がピンク。不運が黒。それの大小で出来事の大きさを判断する事を覚えた。

 それで自分の幸運のオーラが大きくなると、宝くじを買いに行った。それが見事に当たって、最高額で200万。平均は1万円前後。貯蓄が増えて彼は会社を辞めて、ゲームに没頭するようになった。数年間娯楽が無かった彼には、まるで砂漠に水のようだっだ。

 今は客の少ない店のアルバイトをして貯金を少しでも減らさないように生活をしている。毎日嬉しそうに時間がある日々を楽しんでいる。ゲームの中で仲がいい女性も出来た。ブラック企業でも女性との交流があったが、お互いに精神が疲弊していてメンヘラ気味であった。お互いに忘れるのが正解である。体だけの関係でお互いに自分達の環境に同情していただけで、悲しいかな愛ではなかった。人を愛するには疲れすぎていたのだ。

 そんな過去を忘れさせるくらいゲームの日々は幸せだった。毎日チャットで頻繁にギルドの仲間や、一般のチャットで会話をし、仲がいい女性の仕事が終わるのを楽しみにしている。

 彼女の名前は零と同じ麗奈という名前。レイ君とレイちゃんと呼びあっている。そんな幸せそうな鈴原零君であったが、私の世界が緊急事態なので彼を呼ぶ事にする。

 彼の苦労した経験からの高い精神力と忍耐力、そして最も重要なオーラが見える超能力が是非とも必要なのである。

 暗黒の魔王のオーラの手による攻撃は常人には全く見えないので、透明な何かに体を引き裂かれるだけ。数々の強力な勇者を召喚して、私も諦めずに何度も挑戦した。彼らはよく頑張ってくれた。慣れない異世界日々中で、人々を愛し、人々の為に1億を超える強力な魔物を倒し、人々の尊敬を集め、戦場でも一騎当千の英雄となり、奴隷大国を滅ぼし大英雄となり、魔王に挑むまで行ったが、瞬間的に殺されてしまった。希望であり最大戦力の勇者を失い、パーティーは大混乱に陥り、魔王城から逃げ切った時には、一騎当千の強者12人が僅か3人となっていた。何年も見守り応援してきた勇者達を失い国民だけでなく、わしも失意のどん底に。もうこんな悲しみは嫌なのだ。魂だけの存在となった今でも心は痛いのだ。鈴原零。彼ならばきっとこの世界を暗黒の魔王から救ってくれる筈だ。

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