4月7日・9日・11日

 発車と同時に新潮文庫を開いた。村上春樹の『村上ラヂオ』を読み始めた。村上ワールドに触れるのは今回が初めてである。下車後、坂道を歩いた。カフェに入り、朝食を買った。バームクーヘンを食べながら、コーヒーを飲んだ。トレイ返却後、店を出た。森本さんの番組を聴きながら、歩行を続けた。話題は「疑問だらけのワクチンスケジュール」について。道中、無料開放の庭園に寄り、池の中の生物群を見物した。職場到着。更衣室で装束を改めた。


 食堂の券売機に買物カードを挿し込み、新メニューのボタンを押した。受け取りカウンターに行き、券と料理を交換した。壁際の席に座り、新メニューを試した。大きな感動は得られなかった。心はさておき、せめて胃袋は満たして欲しかったなあ。休憩場所に向かった。階段の踊り場で、アカ〇〇ジャー風がゴケミドロの群れに囲まれていた。関わりになりたくないので、別のルートを選択した。勿論ウソですよ。長椅子に腰をおろし、無情旅の続きを読んだ。


 ラヂオ収録の「うなぎ」「ロードス島の上空で」を読んだ。トラブル発生のため、地元駅到着が十分ほど遅れた。まあ、仕方がない。改札を抜け、駅を出た。豚カツ屋に入り、テイクアウト商品を買った。ラジオを聴きながら、最近見つけた「近道」を歩いた。途中、コンビニに寄った。自宅に戻り、腕立て伏せをやった。ラジオの話題は「ハトムギの意外な利用法」について。酒飯の後に『メカゴジラの逆襲』のオーディオ・コメンタリーを聴くつもりである。


♞今宵の酒はブラックニッカの軟水割り。酒肴は冷奴。飯はささみカツ弁当。


 午前8時起床。洗顔後、台所の電気ケトルに水を注いだ。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。ラジオを聴きながら、熱いやつを飲んだ。話題は「私が考える拡大防止策」であった。燃えるゴミを詰めた袋を共同集積所に運んだ。施錠後、自室を離れた。階段を下り、コインランドリーに足を向けた。


 道中、恐るべき光景を目撃した。小学校の運動場に円筒形の宇宙船が数機着陸していた。その周辺で、蛸型エイリアン…火星人類たちが「組み立て作業」に熱中していた。どうやら彼らは「三本脚の戦闘機械」を作っているらしい。完成後、即座に侵攻作戦を開始するだろう。阻止するなら今しかない。科〇隊本部に通報した。俺の要請は「システム障害発生。メインコンピューターの修復が完了するまで、全ての業務を停止しております」という理由で断られた。


 帰宅後、バルコニーの物干し竿に脱水衣類を吊るした。台所に行き、二杯目のコーヒーを淹れた。飲みながら、世界樹の続きをやった。部隊編制後、特殊ダンジョン「不思議ノ樹海」に潜った。

 何が特殊かと云うと、迷宮潜入と同時に各員のレベルが「1に戻って」しまうのだ。金子と道具の持ち込みも禁止されており、全滅した場合は、魔物の栄養になるか、樹海の肥やしになるしかない。なかなか厳しいルールだが、スリルを求めるプレイヤーにとっては「格好の遊び場…」と云えるのではないか。


 シャットダウン確認後、部屋を離れた。階段を下り、学校の方角へ歩いた。作業の進み具合が気になったからである。戦闘機械の組み立ては九割程度終わり、仕上げの段階に達していた。もうダメだ。我が町はやつらに蹂躙される運命なのだ。戦慄と絶望に圧し潰されそうになった瞬間、地響きと共に、巨大フジ隊員が現れた!子分のブースカとカネゴンも同様に巨大化していた。

 親分の繰り出す鉄鎚が、宇宙船と機械群を片っ端から粉砕した。ブースカが恐慌状態に陥った火星人類たちを掴み取りざまに、地獄の風呂釜みたいなカネゴンの口に放り込んだ。かくて、地球は救われたのだった。勿論幻想である。


♞今宵の酒はブラックニッカの「富士山に磨かれた天然水」割り。酒肴は鶏肉と胡瓜の中華和え。飯は和風ステーキ弁当。


 現実(うつつ)に帰還した。悪夢の沼から這い出すような目覚めであった。洗顔後、台所のケトルに水を足した。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。第一パンの「チョコ好きのチョコパン」を食べながら、熱いやつを飲んだ。


 食後、屋内の吊るしものを屋外に移した。本日も終日晴天の予報である。その空を科〇隊自慢の標準航空機が誇らしげに飛んでいた。パトロールなのか、ある種のデモンストレーションなのか、俺は知らない。知らぬし、興味もない。部屋に戻りかけた時、閃光が閃き、轟音が轟いた。大小の火柱を虚空に噴き上げながら、同機が爆発四散した。その光景を俺ははっきり見た。

 事故の原因は不明だが、あの有様では、パイロットは脱出機能を作動させる暇(いとま)もなかったに違いない。機と運命を共にしたと思われる。ともかく人騒がせな組織だ。解散を検討した方がいいのではないか。全部ホラである。


 シャットダウン確認後、身支度を整えた。施錠後、自室を離れた。屋根付き通路を進み、剥き出し階段を下った。飲食街のラーメン屋に入り、醤油ラーメンを食べた。なかなか美味しかった。理想に近い味と云えた。今度はタンメンを頼もうと思った。勘定の際に、マスターがオープン記念のタオルをくれた。


 貸しDVD屋に行き、借りていたものを返却箱におさめた。店を出て、隣り町まで歩いた。ラジオ第1の『DJ日本史』を聴きながら、歩行を続けた。書店に入り、文庫を買った。帰途、スーパーに寄り、食べものと飲みものを買った。家に戻り、歩数計を取り出した。画面に「11977」が刻まれていた。


♞今宵の酒はブラックニッカの「天然水 富士山」(アサヒ)割り。酒肴はフライドポテト。飯はチキンステーキ弁当。

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