第7話 プロメテウスの嘘

「王様、この薬を頬に塗り込めば腫れは

治ります。毎日一回必ず清潔な手で

服用して下さい」


「了解した」


医官の説明を聴いた後、プロメテウスは

彼女の側に座った。すると、閉じていた

瞼が少しずつ開いていく。


「ん、ここ・・は・・」


「目が覚めたか」


「えっ、あっ、も、申し訳ありません。

お顔を見てしまいました。

お許し下さい」


きちんと規律を守っている彼女に感心

すると同時に、もっと長く表情を

見ていたかったとプロメテウスは思った。


「気にするな。そなたは怪我をしている

のだから。あの二花用人はこの後

厳罰を下されるだろう。今後同じ

事が起きないよう、女官長にも厳しく

指導するよう伝えてある」


「あ、あなた様は一体・・」


「あ、あぁ自己紹介がまだだったな。

私は三等武官のテウスだ。武官長の

指令で君をここまで運んで来たんだ」


ここで王だと言えば、会えないような

気がしたのでプロメテウスは

わざと偽名を名乗った。


「武官の方なのですね。私はリアと

言います、新人用人です。本当に

ありがとうございました」


愛しい人の名前を聴いたプロメテウスの

心は益々愛情という名の炎で燃えてた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る