第14話 次のステージへ

~エルデン王国・ロドルフの屋敷~


第3波も無事に攻略できた。

現在屋敷にはリームとエリシャが来ている。

昨日エリシャの通信で、俺からの返事が無かった事で心配になり駆けつけてくれたのだ。

何ともありがたい話である。

厄災について話があったので丁度良かった。


・ロドルフ

「其方たちがグランデの巫女と勇者か。

エルデンの王、ロドルフだ。

長旅ご苦労だった。

ゆるりと休まれよ。」


・リーム

「お初にお目にかかります。

開国の国『グランデ』の巫女リームです。

こちらは雷光の勇者エリシャ。

以後お見知りおきを。」


丁寧にあいさつするリーム。

ん?雷光の勇者?


・ロドルフ

「雷光の勇者、2種の魔法が使えるのか?

浩二殿と同じだな。」


・リーム

「エリシャはその名の通り。

光と雷の使い手でございます。」


あれか、『ダイバー』の武器能力。

確かに光魔法と雷魔法に見えるな。

武器によって光線と電撃を使うし。

エリシャを見ると舌を出してテヘっとしていた、何とも可愛い事です。

最初は凛としたお姉さんの様だった。

最近は可愛いネコミミ美女と感じている。


どちらも素敵だと思います!


そんな事を考えていたら、リームとロドルフの話を聞きそびれていた。


・ロドルフ

「何と、そちらも厄災を撃退できたか。

バンガードの魔道兵器抜きでか?」


・リーム

「はい、殲滅させる事に成功しました。

これも全ては浩二様のお陰でございます。」


一国の王と他国の巫女の話。

何か長くなりそうだな。


・エミリア

「その話は後で詳しく聞くわ。

今はそれよりも大切な事があるの。」


同じことを感じてたエミリア。

話を見事にぶった切ってくれた。

ナイスプレイですエミリアさん。


・ロドルフ

「そうだった、、、

この度、大変な事実が確認された。

使者を送ろうと思ってたが、来てくれたのは本当にいいタイミングだった。」


リームの頭の上に「はてな」が見える。

頭をかしげる姿がちょっと可愛い。


・エリシャ

「大変にゃ事実とは?」


・ロドルフ

「うむ、詳しくは浩二殿に聞くと言い。」


さて、何から話すかな。

やっぱり経緯から順番に話すか。

事が事だけに、真相から話す、、、


・ロドルフ

「どうやら帝国が暗躍している。」


お前が話すんかい!

思わず突っ込みそうになった。


・リーム

「帝国、、、、ですか?」


ほら、何のこっちゃって顔してるやん。


・エリシャ

「帝国か、どうもキナ臭いと思ってた。」


あっさり聞き入れるエリシャ。

何となく気付いてたのね。


・エリシャ

「浩二のお陰で魔道兵器の強さが解った。

それから違和感がずっとあったんだ。」


・リーム

「撃退不可能と言われていた魔将軍。

グランデでは昨日の第3波で出現しました。

そしてエリシャにより討伐されました。」


おおー、魔将軍を倒したんだ。


・リーム

「これにより我が国での厄災は終了。

浩二様に受けた恩。

それを返す為、参上した次第です。」


・ロドルフ

「誠か!魔将軍を?

それでは、あれが現れたのか?」


・リーム

「はい、赤いゲートの出現を確認しました。」


・「赤いゲート?」


赤のゲートなんて見た事ないぞ。


・エミリア

「歴史書によると、厄災の最後は赤いゲートが出現して魔将軍が現れるの。

割れる時に黒から赤に変化する。

だから割れる瞬間まで解らなけどね。」


そうだったんだ。

て事はグランデはもう心配ないのか。


・リーム

「エルデンの王、ロドルフ様。

私達2人を浩二のお傍に居させて頂きたい。」


リームが頭を下げる。

同時にエリシャも下げた。

何処か渋っているロドルフ。


・ロドルフ

「ふむ、、、一つだけ条件がある。

お二人ともこちらに来てくれ。」


ロドルフが2人と共に部屋を出る。

政治的な事か?

何なら俺が席を外しますよ?


・エミリア

「そう言えば聞いてなかったわ。

浩二が倒した魔族は魔将軍だった?」


・「いや、違うと思うぞ?

ゲートが変色した記憶ないし。」


確か変わってなかった気がする。

夜だったから改めて思い出すと自信が無い。

変わって無かったよな?


・エミリア

「そっか、じゃあまだ続くんだね。」


少し暗い顔になるエミリア。

厄災が終わらない限り不安は拭えないか。


暫くロドルフたちが戻るのを待った。

そして、、、


・リーム

「ロドルフ王、ありがとうございます。」


・エリシャ

「はにゃしの解る王で良かった。」


・ロドルフ

「いやいや、こちらこそ助かる。

これからもエミリアの事を頼む。」


やけにフレンドリーな空気で帰って来た。

一体何の話をしていたんだ?


・エリシャ

「浩二!私達ここに居て良いとさ。

これからも宜しくね。」


エリシャが嬉しそうに話してきた。

俺的には嬉しい。

エミリアはどうなんだろう?


彼女はリームと楽しそうに話していた。

大丈夫そうだな。


・ロドルフ

「では私はこれで失礼するよ。

、、、何か言い忘れている気もするが。

まあその内思い出すだろう。」


ロドルフが去っていった。


・エミリア

「ねえリーム、厄災は昨日だったのよね?

1日でこの国まで来たの?」


俺もそこが気になってた。

結構遠いよ?


・リーム

「それはね、エリシャが私を抱いて飛んできたから早く着いたのよ。」


そんな事も出来るのか。

ゲーム脳の俺には想像できなかった。

ゲームでは出来ない事も出来るんだな。

もう少し柔軟に考えなきゃ。


・エミリア

「すごい、今度私も飛んでみたい。」


楽しそうに話してる2人。

すると、ロドルフが戻って来た。

凄い勢いで部屋に入ってくる。


・ロドルフ

「帝国の事、話忘れてた!」


王は一番大切な事を忘れていた、、、



~バンガード帝国~


・バンガード王

「それで?グランデの収穫は失敗したと?」


王が報告してきた兵に聞き返す。

兵は震えながら報告している。


・バンガード王

「そうか、、、もうよい下がれ。」


王の命令で下がる兵士。

すると一人の男が近寄ってくる。


・王側近

「で、あの兵士はどうする?」


下の者とは思えない態度だ。


・バンガード王

「もちろん餌として提供します。

して、開拓の国は如何いたしますか?」


まるで立場が逆の様だ。


・側近

「魔将軍ハデスが殺された。

あの国にはもう手を出さないでおく。

一つの国にこだわる必要もない。

代わりに他の国から兵となる人間をよこせ。」


・バンガード王

「は!仰せのままに。」


側近が消える。

だが周りには同じ様な空気を持つ兵が居た。

まるでバンガード王を見張る様に。


・バンガード王

「勇者山元とスイを呼べ。」


バンガード王は直ぐにでも行動に移った。

何かに怯える様に、、、



~ロドルフの屋敷~


・「さて、これからどうするかね。

このままこの国に留まっても良いが。

それだと後手に回るかもしれない。」


正直悩んでいた。


・リーム

「真相を知ったからには動かないと。

先手を打つのは大切よ。」


リームとエリシャには全てを話した。

帝国への疑い。

この世界の役割。

厄災のカラクリ。

その上で話し合いをしている。


・エリシャ

「残りの国をどうするかだにゃ。

帝国に打って出るか他国と協力するか。

この2択ににゃるか?」


・エミリア

「帝国の兵は強力よ。

更に魔物も居ると考えた方が良いわ。

どうしましょうか、、、」


・ロドルフ

「グランデには私から書状を出そう。

自国の警戒をするように書いて置く。

後は『アキナ』『フーバ』をどうするかだ。」


しれっと話し合いに参加している王様。


・コーン

「『アキナ』への道のりは遠い。

先に『フーバ』への対応が宜しいかと。」


こちらもいつの間にか参加していた。

他国の勇者が来ていると聞いて模擬戦をしにやって来たらしい、相変わらずの戦闘狂である。

コーンが現れるなり、


・コーン

「だって、浩二殿が最近相手にしてくれないんだもん。」


とか言い出した時は凄い変な空気になった。

マジで辞めて欲しい。


・リーム

「確かに、『アキナ』はバンガードを挟んで反対側になりますね。ここはコーン様の言う事が賢明かと。」


『フーバ』に行く、に2票入りました。


・エミリア

「ちょっとエリシャ。

そんなに浩二に引っ付かないの。」


・エリシャ

「ここまで頑張ったご褒美だ。

ちゃんと一番はエミリアにするから。」


などと言っている二人。

何の話だ?

話に参加しなさい。


・ロドルフ

「エミリアよ、、、」


ほら、王様が怒ってるよ。


・ロドルフ

「二人にはちゃんと話を付けてある。

心配しなくてもよい。」


怒ってなかった。

大丈夫かこの世界。


・コーン

「では決まりですな。

『フーバ』の国から対応しましょうぞ。」


今日のコーンはとても頼りになる。

コーンのお陰で何とか纏まった。


・コーン

「では浩二殿、夜間の稽古を始めよう。

ささ、庭に行きますぞ。」


どうやらそれが目当てだったらしい。

他国の勇者と戦いたいんじゃなかったのか?


・エリシャ

「浩二が戦うのか?

是非見学させて欲しい。」


・リーム

「私も行っていいですか?」


・コーン

「どうぞ!是非来て下さい。」


エリシャも戦闘は好きな感じか?

悪いが、これから見れるのは戦闘じゃないぞ?


ただ公開リンチだ、、、


思った通りだった。

久しぶりの稽古でボコボコにされた。

リームとエリシャが引くほどに。


久しぶりとあってかコーンの攻撃が凄い。

笑顔で攻撃するコーンに恐怖すら覚える。


こうして夜は更けていく。



~次の日~


・「いてててて」


起き上がるのがつらい。

昨夜のコーンは凄かったな。

あまりの猛攻撃に意識を手放してしまった。

でも骨に異常が無いのが不思議だ。

この辺りはちゃんと考えてるんだな。

なんだかんだ言って王国最強の兵士だ。

流石とだけ言っておこう。


・「さて、何か食べモノでも探しに行くか。」


俺は食堂に向かった。

食堂ではエリシャとリームが食事をしていた。


・リーム

「あ、、、おはよう浩二。」


俺に気付いたリームが話しかけてくれる。


・エリシャ

「その、昨日は凄かったにゃ。

大丈夫か?」


心配してくれるエリシャ。


・「いつもの事です。」


そう答える俺。

マジで?と聞いてくる二人。

マジなんです。


・「コーンの事はさておき。

二人はどうするんだ?」


・エリシャ

「浩二と共に良くよ。」


・リーム

「私も行きたいのですが、まだロドルフ王と話さねばならない事があります。それにグランデとエルデンの架け橋となる役目も果たさねばなりません。幸い、コーン様が私達専属の護衛として動いてくれますので、暫くこの国とグランデを行き来する事になるでしょう。」


ロドルフもちゃんと王様やってるんだね。

少し安心しました。

3人で食事をしているとエミリアが登場。

何だかお顔が優れません。


・エミリア

「はぁ、、、、」



ため息を漏らすエミリア。

何かあったのかな?


・エミリア

「浩二、、、信じてるからね。」


突然ぼやくエミリア。

本当にどうしたの?


・リーム

「エミリアは私と共に行動します。

浩二と離れるのが辛いのでしょう。

しかし一国の姫として役目を果たさねばなりません。その狭間で苦しんでいるのですよ。」


国民の為に頑張るエミリア。

いつも国のために頑張ってたな。


・「エミリアは凄いよな。

いつも誰かの為に頑張ってる。

あまり無理はしてほしくないが、そんな風に頑張れるエミリアを尊敬するよ。

悪くいう奴もいるかもしれない。

だが俺はそんなエミリア好きだな。」


俺の何気ない発言で時が止まった。

あれ、また変なこと言っちゃった?


・エミリア

「それ、本当?」


尊敬してるってこと?


・「本当だよ、エミリアは凄いよ。」


エミリアの顔が真っ赤になった。

そして部屋から走り去る。


・「あれ?おかしなこと言った?」


エリシャとリームは顔を横に振る。

やれやれ感が凄い伝わってくるよ。

どうやら変な事を言ってしまったらしい。

後でエミリアに謝っておこう。


謝りに行った先でちょこっと怒られたのは言うまでもないだろう、相変わらず女性の扱いには慣れていない浩二だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る