第12話 見え始める陰謀

ゲートが出現して6日目。

現在避難所に指定した「ナント」村に全ての国民が集まっている。国民が少ないとはいえ、全ての人を動かせるのは凄い事だよね。

毎日畑仕事を一緒にやってるから?

王様の人気がとんでもなく高い。

そしてとってもフレンドリー。


・国民

「ロッフー、新鮮な野菜持ってきたぞ。

後でお茶でも飲もう。」


・ロドルフ

「お~、良いですな。

では後ほど顔を出します。」


話し方が逆じゃない?

それで良いのかエルデン王よ。


愛称で呼ばれる王様。

俺の固定概念がおかしいのか?

これが普通なのだろうか?


と、そんなこと考えてる場合じゃない。


・「ロドルフ王、ちょっと頼みたい事があるんだけど良いかな?あと聞いて置きたい事も。」


本当はもう少し早く聞きたかった。

しかし避難誘導や避難施設の建設等。

やる事盛沢山だったので今日まで黙ってた。


・ロドルフ

「どうした浩二殿、何でも言ってくれ。」


・「屋敷周辺の木々を伐採しても良いか?

あと、戦闘時に屋敷が壊れても良い?」


一応、聞いて置かないとね。

俺の攻撃で壊れる可能性もあるし。


・ロドルフ

「あの位置にゲートが出現したのだ。

既に屋敷は諦めているよ。

壊れたらまた建てれば良い。

それに魔物が進行したら木々も倒される。

こちらも気にしなくていい。」


おお~助かった。

これで考えてた作戦が実行できるぞ。


・「んじゃ数名の兵士を貸してくれ。」


既に避難所や仮の住まいは建設済み。

これで兵士も借りれるだろう。


・ロドルフ

「うむ、良いだろう。

コーンと2部隊程連れて行くがいい。」


王の許しも得た。

では早速行動に移ろう。



~エルデン王の屋敷~


・コーン

「して、浩二殿。

どの様にすれば宜しいか?」


・「んと、まず屋敷を中心とします。

円状に約300m程伐採してください。」


俺が指示を出すと兵士が動いてくれる。

んじゃ俺も仕事しますかね。


・「モデル『フェンサー』」


この超重装備のキャラ能力を使おう。

こいつはパワードスーツと言う物を着ている。

通常の人間では持ち上げられない様な重い物も持てる様になる、、、と言う設定。確か1トンとか持てるんじゃなかったか?

そしてこのキャラ最大の特徴。

超重装備の為、体当たりで木を倒せる。

更にスラスターと言う装備もある。

これは背中からジェット噴射を起こして直線的に素早く行動が出来るという物だ。

前方、後方、左右。

直線的な動きなら、どの方向でも可能。

小回りが利かないのが難点です。

ちなみに装備が重い為。

スラスター未使用の時は遅いのなんのって。

かなり癖のあるキャラなのだ。

使い方次第だけどね。


・「サクサクやっちゃいましょうかね。」


大体の感覚で300m程スラスター移動。

すると屋敷から真っ直ぐ道が完成。

見事に木々をなぎ倒しています。


・「うむ、これなら間に合いそうだ。」


俺はこの作業を繰り返していった。


・コーン

「流石は浩二殿だ。

皆の者も浩二殿に負けるな!」


・兵士たち

「おおおおー!」


無駄に士気が上がっていた。

そんな事にも気付かずに黙々と作業を続ける。

そして昼頃になり昼食を取る事になった。


・コーン

「順調に進んでますな。

この調子なら夕刻には間に合いそうだ。

作業が終わったら戦闘訓練でもどうかな?」


嫌です、てか明日は厄災だぞ?

厄災前にダメージを受けてどうする。


・「あ、明日もあるので今日は休みます。」


・コーン

「それもそうか、、、」


とても残念そうな兵士長


・コーン

「では明日に支障のない程度だけ。

少しだけ、ね、ね。」


俺は、背中に悪寒が走った。

この人こわぃ。

後でロドルフに言って注意して貰おう。


昼飯後、作業を再開。

皆が頑張ったお陰で夕刻には作業が終わる。


・「では、モデルチェンジ『レイダー』

あとは、これをこうして、、、」


何処からともなく取り出した箱。

それを屋敷上空に向けて設置中。


・コーン

「浩二殿、この箱の様な物は?」


コーンが疑問に思うのも解る。

現代なら大きな工具箱と言えば良いか。

何処から見てもただの箱なのです。


・「いいからいいから♪」


俺はそんなコーンの疑問をスルー。

後のお楽しみって事で。


ブラスター 4カ所

ラピッドランチャー 4カ所

ZE - GUN 4カ所


ぞれぞれ東西南北に一個ずつ配置。

ちなみに全て最高級の物を使用、細かく書くと数種類有るのでその辺りは省略してあるのです。


・「これで良し。」


作業をすべて終えた。

コーンの悩まし顔は無視。

俺達はナントの村に帰還する。



~避難地・ナントの村~


まずエミリアが出迎えてくれた。


・エミリア

「おかえりなさい、どうだった?」


・「皆のお陰で準備万端だね。

いつでも対応できる。」


予想通りなら襲撃は夜。

飛行能力を持つ魔物で奇襲に来ると見た。

もしも俺の考える通りならね。


これで奇襲してくる様なら決定的だ。

その時に王に進言しよう。

今はまだ仮説の段階だし。


・「一緒に王様の所に来て貰っても良い?

コーンも一緒によろしく。」


村に戻るなり訓練用の木刀を用意している。

おい、こらコーン。

今日はやらないって言っただろ?


・コーン

「先に報告ですな!

いやはや急いでしまった自分が恥ずかしい。

では報告の後に、、、」


・「やらん!」


ダメだこの男、話が通じない。

早く王の所に行こう、、、


エミリアと俺は素早く移動する。

コーンもしっかりついて来ていた。


・ロドルフ

「おお、戻ったか浩二殿。

して、今回はどの様な戦術を取るのだ?」


決戦は明日だと思っているロドルフ。

ロドルフは既に主要のメンバーを集めていた、俺の帰りを待って居てくれたらしい。

お陰でスムーズに話が進みそうだ。


・「既に集まってくれているのは助かる。

では俺の見解を述べます。

襲撃は夜間、恐らく夜更けに来る。

敵は闇に紛れて奇襲を狙っていると思う。」


俺の発言に皆が戸惑う。

信じられないといった様子だ。


・ロドルフ

「どれほどの確率だ?

浩二殿の考えを教えてほしい。」


・「そうだな、90%って所だな。

残りの10%は希望的な数値だ。

考えが間違っていて欲しいと言った所だ。」


周りがどよめく。

エミリアなど口が開きっぱなしだ。


・部隊班長

「何故、そう思われるのか教えて頂きたい。」


どうする、今話しても大丈夫か?信じたくない気持ちが大きい今、あまり話したくはない。


・エミリア

「浩二が言うのです、信じませんか?

今まで私達を救ってくれた英雄です。

今回も全権を任せるべきかと。」


エミリアが俺を全面的に支持してくれる。


・コーン

「心配なのはわかる。

だが安心してほしい。

浩二殿は既に行動に移していた。

私はこの目で見ていた見たのだ。

見た事も無い箱を設置していたのを。」


コーンも援護射撃をしてくれた。

厄災後に特訓再開してあげようかな。


・兵士班長

「う~む、、、、」


班長さんが悩んでいる。

無理もないか、作戦一つのミスで壊滅する可能性だってある。ここは慎重に行きたい所だろう。


・ロドルフ

「浩二殿自身、確証が持てない事なのか。

仮定の状態で良い、話して貰えないか?」


このまま話が平行線なのはまずい。

話すべきだろう。

裏で糸を引く者たちの事を。


・「わかった、俺の説を話そう。

この厄災は意図的に起こされている。

そしてそれを起こしているのは帝国だ。」


俺の発言に驚きを隠せない一同。


・「違和感があったのはグランデに行った時、帝国の魔道兵器を目の当たりにした時だ。」


俺は続ける。


・「一見すると凄まじい攻撃だと感じる。

光魔法の様だし、見栄えは良いよな。

だが問題は威力だ。

一撃が弱すぎる。

あれでは兵士一人すら倒せない。

あれは爆発範囲だけを重視した兵器だ。」


・コーン

「まさか、魔道兵器を受けたのか?」


・「グランデの勇者が攻撃を受けた。

その時に解ったんだ。

魔道兵器の攻撃力は一般兵士の一撃相当だ。

これでは魔獣が倒せなくて当然。

討伐が不可能と言うのはそういう事だろう。」


『始まりの魔獣』の時は指揮している者がいた筈だ、本来はそいつの退却指示で引いて行くのだろう。

第2波以降は魔道兵器が登場する。

貸し出しは5機。

攻撃範囲はかなり広い。

連射は出来ないが数分で再充填可能だ。

一直線で進んでくる魔物約100~200体として、5機で対応できると仮定すれば魔物のHPは約400~500前後と言った所か?

あれ程の長距離から撃てたのだ。

遠距離から上手く放てば2発撃てる。

例え威力が100でも範囲が広い。

被せて放てば数を減らせるだろう。

その後、各国の勇者が兵士と協力して残りの魔物を倒せばいい、それが厄災のシナリオだ。


・「俺の能力で正確な攻撃力が解る。

コーンの一撃は約280。

一般兵士の通常装備で100前後だ。

魔道兵器はピッタリ100だったよ。」


信じられないという顔をしている。

それもそうだろうな。

だって、歴史を否定してるんだから。


・「この仕組みで得をしているのは帝国だ。

魔族と結託している可能性すらある。

それもかなりの高確率でな。」


・ロドルフ

「にわかには信じがたい、、、」


・エミリア

「浩二の話が本当だとして、何で今回の襲撃は夜間になるの?」


・「俺の攻撃特性だよ。

目視で攻撃目標を指定していただろ?

ピンクの光がそうだ。

フォボスの時は敵を引き付けてた。

敵側から見れば目視確認だと思うはず。

夜間に奇襲すればその攻撃は出来ない。

あれだけの範囲攻撃だ。

敵の懐にさえ入り込めば大丈夫。

そう考えてもおかしくないんじゃないか?」


・コーン

「なるほど、、、確かに一理ある。」


・「さらに敵の目的だ。

今回は女性をさらいに来る可能性がある。

これは歴史が語っている。

各国の要求を考えてみてくれ。

商人は金、豊穣は果実、開拓は兵。

そして奴隷は女。

国の名で魔族への献上品が変わるとしたら?

今回は俺のせいで救援報酬が得られなかった。

なら奪ってしまえばいい。

帝国なら考えそうな事じゃないか?

奴隷の国と呼ばれるくらいだ。

あいつらに慈悲などない。」


・ロドルフ

「ぬぅ、、、考えたくはないが。」


・「人間が人間を魔族に売ってるんだ。

そんな事、考えたくないだろう?

でもさ、人間の本質はそんなもんだ。

一度甘い蜜を吸った奴は尚更な。

自分さえ良ければいい。」


俺の言葉で静まり返る。

ここらでトドメを撃ちますか。


・「考えても見てくれ。

何故ゲートの発生源には怖い噂がある?

誰が流したんだ?

人が寄らない場所ばかり発生するのは何故だ?」


・コーン

「そこは反論する、今回は屋敷の上だ。

必ず人目につくはずだぞ。

人為的に発生させているとし、、、」


コーンの言葉が止まる。

どうやら辿り着いたみたいだね。


・ロドルフ

「魔道兵器を持ってやって来た帝国兵。

あの時に仕込んで行ったと言うのか?」


・「救援要請を出してないのに現れた。

おかしいだろ?

だが、歴史通りに動いているからと思わせれば疑問に持つ者はいない。実際この国の兵力は少ないのだからな。

通例通り来ましたよと言うだけで良い。」


皆何も言えない。


・「今回奇襲で来るならそういう事だろう。

明日の朝ならもう少し考える必要がある。

だが俺はこう考えている。

今回は夜間、しかも目的は人攫いだ。

必ず指揮をする奴が前線に来る。

そして俺はそこを利用する。」


・ロドルフ

「どうするのだ?」


ロドルフの切り替えが早い。

最悪の事態を想定して動くつもりだ。


・「頼みがある。

屋敷から見える様に火を焚いてくれ。

出来るだけ多くの火を頼む。」


・コーン

「それだけ?」


・「ああ、それだけで良い。」


・エミリア

「浩二はどうするの?」


・「俺は、、、、」


俺の提案に皆が反対する。

しかしこれが一番効率がいい。

そして真相を探れる可能性もある。

この作戦だけは譲れない。

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