5話
父は有名な画家の
「ねぇ、彩ちゃん今回のポスターも頼んでいい?」
そう言って目の前にいる私の親友
「他にやる人いないの?」
私は帰り支度をしながら質問を質問で返す。
「皆やってくれないんだよ。でも、クラスで一枚は絶対に出さないといけなくて」
「赤羽さんは?」
と、私は右斜め後ろの席にいるロングの髪の一人でスマホをいじってる女の子を見る。彼女は
「ええ、でも私あの子苦手でさ。お願いします!」
と美紀は言う。赤羽は友達がいない訳では無いが少ない。
「しょうがないなぁ。いいよ。」
「ホント!?ヤッター。でも、いいなぁ、彩は絵が上手くて。大学は美大行くんでしょ?」
「うん。」
「そう言えば、今日一緒に帰れる?」
「ごめんね。今日は病院行かないと」
「そっか。じゃぁね。」
そういって、私は支度を整えたカバンを持って教室を出た。
病院に行くと言っても私が病気な訳では無い。母のお見舞いだ。母は元々体が弱く何回か入院をしている。
「ママ!」
私は彼女の元へ駆け寄った。
「彩ちゃんおかえり。学校はどうだった?」
と聞かれる。
「うん!とても楽しかったよ。」
「そう」
「そうだ。ママ今度文化祭のポスター頼まれちゃったんだけど……」
そう言うと私はプリントを彼女の前に出す。
「頼んでいい?私、これから予備校なの。」
予備校なのは本当だ。嘘はついてない。私は良く絵を母に頼む。私にイラストレーションは向かない。それは父に似たのだろう。目で見てとったものは描けるがそれをデフォルトにしろと言われると難しいのだ。それに、こういう文化祭はリアルな絵より可愛い絵が好まれるし入りやすいから。
「……そう。いいわよ。彩ちゃん忙しいわよね。何時からって言ってたっけ」
「あと1時間かな。」
「それじゃ今日中には渡せないわね。いいよ。明日までには考えておくから」
「ほんと?じゃぁね。」
私はそう言うと母のいる病室を出る。すると真正面にせえたかのっぽの父がいた。
「ああ、彩来てたのか。」
私は父を睨む
「そうだけど何?」
「帰るのか?」
「だってこれから予備校だもの。」
「ああ、まだ行ってるのか。」
父は私に画家に進むなと言う。自分が画家のくせに何言ってるんだよ。それにいちいち思い出した風なのがムカつく。私はあなたの子供じゃないのかと。
「うるさい。じゃぁね。」
そう言うと私は足早に彼の横を通る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます