・天岩戸
「なんて言われたりしたんだよね。」
「へー。そんなことが」
「聖羅は親友がこんなのでガッカリかい?」
「そんなわけないわ。私は会えて嬉しかったわ。立ち直ってくれてありがとう」
「いやー。聖羅の役に立てるなら嬉しいよ。こんな僕の話でいいの?」
「ええ。助かるわ。」
僕はそんな彼女の言葉を横目に契約書にサインした。
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「ふう。今回友達は私だけだから他の子がどうって確認しなくて良さそうね。楽しい事をやって一人を頑張ってみんなで笑わせるってのは天岩戸のようね。まぁ、秘密の花園も似たような話だけれど題名にするにはコリンが居ないからね。」
「あれ、呉橋さんいつも一緒だった子は?」
突然クラスメイトに話をかけられる。
「え、なんの事?怖いこと言わないでよ」
「そうだっけ。ごめんね。そうだ、呉橋さんこれから一緒に帰らない?今日一人なの。」
「そう?じゃあ帰ろうかしら。」
私は本を閉じ立ち上がろうとする。
「秘密の花園?初めて見た。どんな話なの?」
どうやら、私の本の表紙が見えてしまったようだ。
「そう?確かに日本ではあまり親しみない話かもね。でも、有名な童話なのよ。」
「そうなんだ?私バカだから漫画とかじゃないと分かんなくて」
「最近では漫画のものもあるんじゃないかな。」
「ほんと?じゃあ、駅近くの本屋よってってみようよ。秋葉に読書感想文出さないといけないから漫画でざっくり読める名作的なの教えて欲しい。あわよくば書き方も」
秋葉とは国語の教師だ。この子は頭はいいが圧倒的な理系で文章を書くのが苦手のようだ。論理的で完結に書かれた文を書く彼女からしたらよく分からない表現を入れて長々と書く作文は大敵だろう。彼女も面白そうな話を持ってる気がする。
「ねぇ、そういえばあなたってどこ中なの?」
私は在り来りな質問から攻めることにした。
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