第3話 黒い宝石か、はたまた悪魔か

 昨今、タピオカが大いに流行っていますね。イモの粉を原料とした、黒くてモチモチとした球体で、ミルクティーにも、カフェオレにも、抹茶ラテにもよく合います。私も、ときおり無性にタピオカドリンクが飲みたくなるときがあります。

 そういえば、記憶している一番古いタピオカブームでは、飲み物というよりもココナッツミルクがかかったデザートだった気がしますが……、その話は置いておきましょう。


 ただ、タピオカブームも、段々落ち着いて来ているという記事をどこかで見かけました。そんな記事を見て、お祭りが終わるときのような淋しさと、これから無性に飲みたくなったときにどうしようという懸念と――


 ――えも言われぬ安堵を感じました。


 いえ、前述の通り、タピオカは嫌いではありません。それどころか、むしろ好物なのです。

 

 ただ、仕事先のゴミ箱で遭遇したくない相手の、ぶっちぎりNo.1なのです。


 というわけで、今回は、タピオカに遭遇したくない理由について、書いていこうと思います。


 まず、ゴミ箱に飲み残しの入った容器が捨てられていた場合の処理を説明いたします。といっても、中身を清掃作業用の水場に捨てて、紙コップなら可燃ごみ、プラスティック容器ならプラごみとして捨てるだけなのです。

 

 そう、たったそれだけの処理なのです。

 タピオカが入っていない場合は。


 そこに、タピオカが入ると――


 見つけた瞬間に、テンションが下がる。

 どんよりした気分で容器を持ち、清掃作業用の水場に向かう。

 容器の中にタピオカだけを残すようにして、氷と飲み残しを捨てる。

 手元が狂ってタピオカを水場の中にぶちまける。

 排水溝に流れる前に、慌てながら拾い集める。

(作業用の手袋は着用しています)


 ――という、てんやわんやが繰り広げられるのです。


 何事もない日なら良いのですが、混雑している時はこのちょっとした時間のために、担当場所全ての清掃を終えるのが、業務時間ギリギリになってしまったりします。それが、けっこうなプレッシャーになるのです。


 それなら、そんなまどろっこしい作業なんてしないで、排水溝かトイレに流しちゃえばいいのに。


 という意見もあることでしょう。

 たしかに、効率を考えるなら、それが一番手っとり早いと思います。




 ただし、タピオカは排水管の詰まりの原因になります。




 タピオカが詰まって溢れたトイレなんて、地獄絵図なこと間違いないですよね……。


 そんなわけで、タピオカ入りの飲み物を捨てる際は、どうかタピオカを食べきってからにしていただきたいのです。


 本当に、心からお願いいたします。

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