第8話リベンジ

 「さ、帰るか。」

 「はい!」

 「あ。あともう敬語はいいぞ。もう私たちは、

『家族』なんだからよ。」

「…!うん!!」

 1度は家族を失ったが、また、家族と呼び合える仲間が出来た。全く運命とは、分からないもの…

 「ちょっと待てーーー!!」

 感傷に浸っているところに、聞き覚えがある声が聞こえてきた。褐色の肌に派手な服装、ベルゼだ。

 「おうおう、お嬢さん。今スレイヤーとカリンは感動の再会中だぜ?無粋な真似はよせよ。」

 ゲンジがベルゼの肩に手を置き、近づかせまいとグッと掴む。

 「………」

 だがゲンジの方には目もくれず、ずんずんと歩み寄っていく。

 「おいおい、随分とご挨拶じゃねぇ…」

 彼女の指がクイと下に曲げられる。同時にゲンジが首から下まで埋められてしまった。

 「気安く触るな。有象無象。」

 (やってくれるじゃねぇか。)

 「姉上!今まで何処に行ってらっしゃったのですか!」

凄い剣幕で問い詰めてくる。眉間にシワがかなり集まっており、激しく怒っているのが見てとれる。

 「おいベルゼ。もう私のことは放っておけと言っただろう?早く帰ろよ。父上が心配するぞ?」

 「何を勝手な事を!姉上が居なくなってから地獄は大変なことになってるのですよ?!姉上こそ早く帰って来てください!」

ピリピリとした空気が流れはじめる。少し、私の中で察しがついてきた。

 「良いだろう。しかし、1つ条件がある。」

 「……何でしょう。」

 「サシで勝負して私に勝て。勝てたら、大人しくついてってやるよ。」

 やっぱり。スレイヤーらしい提案だ。

 「…いいでしょう。おい貴様ら。邪魔だ。」

 相変わらず高圧的だ。しかしこの2人の戦いは明らかに巻き込まれたら無事では済まないので大人しく遠くに離れることにしよう。

 「……それじゃあ、始めようか。」

 スレイヤーはチェーンソーを剣のように構えている。その持ち手からは野太いエンジン音が轟いていた。

 「いつでも。」

 対してベルゼは腰に携えていた短刀を引き抜いた。両者の間に、えげつない程の緊張感が張り詰めている。

 

 

 サッとベルゼの姿が残像を残して消える。間を置かず、金属がぶつかり合い火花が飛び散る音が聞こえた。

 「おっそ。」

 スレイヤーがチェーンソーで短刀を受け止めている。

 「……ッ!!」

 ベルゼが後ろに飛び退く。表情に焦りが見えた。先程の一撃で決めるつもりだったのだろう。

 「次は、私の番だ。」

 瞬時にベルゼの後ろに回り込み、足払い、そしてベルゼの浮いた体を上から拳で地面に叩き落とした。

 「ぐっ…!」

 ベルゼは仰向けで寝そべったままだ。恐らく叩きつけられた衝撃で立て直すことが出来ないのだろう。

 「はい、お~わ~り。」

 ベルゼのすぐ傍にチェーンソーをぶっ刺し、

決着。

 「はぁ…分かりきっていた癖に…。」

 「まぁな。」

 手を伸ばし、スレイヤーがベルゼを起こす。2人の表情はどこか清々しいものを感じた。

 「さあ、話はこれで終わりだ。早くお城へ帰んな。なんなら、私達と来るか?」

 「ダメですよ。私達の家もぐちゃぐちゃにして。

部下の治療と、後始末もしないといけないですし。

 遠慮しときます。」

 家族と話すベルゼの雰囲気は、先程の威圧が嘘のように落ち着いていた。すると彼女はこちらに視線を向け、ビシッと指を指し鋭い目付きでこう叫んだ。

 「カリンとやら!次に会う時はその力、必ず我が手中に収めてくれよう。首を洗って待っていろ!」

 そう言い残すと、ベルゼはその場から姿を消した。

 「さあ、今度こそ帰るか!!」

 「うん。そういえばシャーリーちゃんは?」

 「後ろで寝てるぜ。よほど疲れたんだろうな。」

 「……………。」

 その寝顔は、いかにも子どもらしいあどけない表情だった。

 「カリンちゃんも魔法無しで戦える力を身に付けないとなー。このままじゃどっかのお姫様みたいになっちまう。」

 「そうだね。でも私そういうの使えるかな…。」

 「そういうのは俺が教えよう。任せとけ。」

 「まぁ、まずは飯だ。早く地上に戻ろうぜ。」

    やっと、1つの戦いが終わった。



 


       ~ETERNAL前~

4人の軍人が、建物の前に立っている。

 ?「ここが目標の住処か。」

 ?「どうします?」

 ?「一旦帰還しよう。あいつらなんぞは、いつでも仕留めれる。」

 「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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