第3話WE ARE SLAYER!!!

  「ようこそ!スレイヤーの隠れ家兼事務所

        

       『ETERNAL』へ!」

 

 辿り着いたのがひとつの廃墟ビル。

ところどころがひび割れ、今にも崩れそうだ。

 「とりあえず中入るぞ。今から私のと顔合わせだ。」

 にっとスレイヤーが笑うと、私の手を引きビルの一室に連れ込んだ。そこにはリビングがあり、キッチンがある。よくあるマンションの部屋だ。外見とは裏腹に掃除もしてある。暫く見て回っているとリビングからでかいいびきが聞こえてきた。顔をしかめ、そこを見るとソファに寝転ぶ背中が1つ。それを見つけたスレイヤーは呆れた様子で近づき、ダラダラと寝転ぶ30代ほどの男性を大きく揺さぶった。

 「おーきーろおっさん!新しい子来たよ!」

 「あ…う~ん…。」

 それでも起きる気配はない。

 「あ〜もう!起きろや!」

 痺れをキラしたスレイヤーは拳を高く掲げ、勢いよく男の背面に振り下ろした。

 ドゴォ!

 部屋に鈍い音が響くと同時に飛び起きた。

 「痛ったぁ!殴るこたァねえだろ!」

 「あんたが起きるのがおそいからだろ!ほら

挨拶ぐらいしてよ!」

 「わーったよ。…ったく、いきなりにも程があるぜ…。ま、いいか。あー…初めましてお嬢さん。先に自己紹介させてもらおう。俺の名はゲンジ、一応この事務所の所長だ。あんたの名は?」

 「あ、そーいえば聞いてなかったな。これから一緒にやってくんだから、聞かせてくれよ。」

 何か勝手に話が進んでいるように感じるが、気にしないでおこう。

 「カリンって言います…。よろしくお願いします!」

 「よーし!カリンちゃん!俺からもよろしくな!

さて、メンバー紹介は終わりと行きたいところだが…、あともう一人いる。結構鬱陶しいやつだが、嫌いにはならいでくれよ。」

 すると奥の部屋から、

 「なーーーにーーー!!!私のことよんだーー?!!」

 齢10くらいの幼い女の子が飛び出してきた。金髪の髪にこの性格、誰かと重なる。

 「んーーー?おねぇさんだれーー?私は

『シャーリー』って言うんだ!よろしくね!じゃあ私はまだ眠いから戻るね!おやすみー。」

 そう言って『シャーリー』は飛び出した時と同じ速さで部屋に戻っていった。

 「思ったよりヤバいやつだろ?でもあいつはデーモンが近づいて来た時教えてくれるんだ。

原理は知らないけどよ、頼りにしてるぜ。

ちなみに、スレイヤーの妹だ。」

 やはりそうらしい。そうやってしばらく部屋でくつろいでいるとまたシャーリーが飛び出してきた。

 しかし、今度はなにか雰囲気が違う。

 「みんな、パーティーの時間だよ!!数は546体!

あと20分でここに到着するよ!!それじゃあ、

  頑張ってねー!!」

 唐突に、まるで遠足の予定を親に伝えるかのような大きな声とハイなテンションで最悪なことを告げてきた。

 しかし多すぎる。あの時の5倍はいるとなる。

できることも無くあたふたしてると

 「すげぇだろ?私の妹。」

 また違う部屋から武装したスレイヤーが優しい口調で語りかけてきた。

 「私と似てかわいいし、色んなことが視える。

私の、宝物だよ。」

 と非常事態とは思えないほど落ち着いた表情で自分の妹にうっとりしていた。

 「おいスレイヤー!ちょっと来い! かなりマズイ状況だ。屋上で待ってるぞ。」

 かなり急いだ様子でゲンジが部屋に入ってくる。

すごい剣幕だ。恐らく500余りの数はさすがに初めてなのだろう。言われるがままに屋上に向かうと、

少し遠いがこの距離でも分かるほど大量のデーモンがこちらにまっすぐ向かってきた。

 「んー今回はかなりガチに潰しに来たな。全員を相手にするには数が多すぎる。いくら俺たちでも体力が持たない。どうする、スレイヤー。」

 「そうだな…。あ、カリンちゃん。この前見せてくれた魔法はどうだ?」

 「あの魔法は切り札のようなものなので、あまり多くは使えません。たとえ使えても数十体が限界です。でも私が気絶してもいいなら半分は削れます。」

 それを聞いた瞬間、スレイヤーの顔はパッと明るくなった。

 「それはどゆこと?」

 「私はあと大きいやつを1発撃てます。ですがその半分を減らすとなると、ちょうど力が無くなるんです。」

 「それじゃあゲンジ、この子が倒れたら部屋に戻してやってくれ。」

 「おう。」

 「よし、それじゃあ1発どデカいの頼むぜ!!」

 「分かりました!!」

 右手にありったけの力を込める。体の全てのエネルギーが手のひらに集まってくるのが分かる。

 そのエネルギーはやがて蒼色に彩られ、巨大な火の玉に変わった。

      「爆ぜろ!!!!!!!!!」

 振り下ろされた青い宝石のような隕石は、ビルの500m前まで迫ったデーモンを核爆発のような凄まじい広範囲の爆破でその数の半分を消し飛ばした。

 「よくやったカリンちゃん。ここからは、

      『私たち』の出番だ。」

   

 

 

 

 

 

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