第2話 招待
「さぁ、自己紹介も済んだし早く行くんだな。なんなら送ってあげようか?」
「お、お願いします…。」
-第二避難所-
何回か化け物と遭遇したが、無事(?)に避難所にたどり着けた。
「あ、ありがとうございました!」
「おう、じゃあな。」
腕を振り、場を去ろうとするその背中は、とても17歳の少女とは思えないほどたくましい。
私は、
(彼女と一緒なら、私の夢をきっと叶えてくれる。)そう思った。逃すものか。この好機を。
絶対について行く。
復讐のために。
10年前、平凡な家に私は生まれた。限りなく普通。家族構成は父と母と私、一軒家に住む普通の家庭だった。私が不可思議な力を使えるということ以外は。その力のせいで、私達家族は迫害され続けた。母と父もだ。本当は私だけなのに。
『化け物だ。』『気持ち悪い。』罵詈雑言は当たり前。しまいには生卵が投げつけられる始末。
そんな差別を受け続けた。しかし、私が引っ込み思案だったおかげでその迫害が直接私に来ることはなかった。
そして、昨年。しばらく引きこもりらしく惰眠を貪る生活を送っていたある日、事件は起きる。
両親が、殺された。化け物に、目の前で。
私はどうする事も出来なかった。
母親の肉が割かれ、父親の内臓が散らばる。そんな光景を私は黙って見ていた。しばらくすると近所の人が銃を持って部屋に入ってきた。これで助かる。希望の眼差しで男を見詰めた。しかし、
「やはりお前は、 化け物だったんだ!死ね!このクソ野郎!!」
自分の目の光が無くなるのがわかった。あの1匹と1人のせいで、私の人生はめちゃくちゃになった。復讐心を持たない方が珍しいだろう。ちなみにその近所の野郎は後に森で謎の死を遂げたらしい。
そして現在、化け物の侵攻が再び始まった。千載一遇の機会。利用しないはずがない。そしてこの人と一緒なら…
「なにか言いたげな顔だな、言ってみなよ!聞いてやるぜ。何を言うかは想像はついてるがな…。」
心の声を、そのまま出す。
「私を連れてってください!!」「私を連れてって」
「だろ?」
心を読まれていた。
スレイヤーは溜息をつきながら続ける。
「ついてくるのは勝手だけどよ。来るからには力を見せてもらわないとな。ただの一般人は、はっきり言うと足手まといだ。それに君みたいに可愛い子が死ぬと、こっちも悲しいからね☆彡(キラーン)」
少し嫌悪感を覚え、少し距離をとる。
「おいおい、そんなことされちゃったらいくら前向きな私でも傷ついちゃうぜ?もっとスキンシップ大事にしていこ…。」
さらに距離をとる。
「…わかったよ。後々親交を深めていくとして。早速だが、試させてもらう。外に出よう。」
-とある郊外-
周りは朽ちたビルに囲まれている。
「ほら、あそこを見てみろ。」
スレイヤーが指さす方向を見ると、うじゃうじゃとさっき見た化け物がいた。
「丁度よくあそこに25体ぐらいのデーモンがおるじゃろう?あれを1人で全滅させろ。
できるだけ素早くね。はい、よぉいスタート!」
無茶を言う。しかし、彼女の目は小学生のように輝いていた。期待に応えるしかない。数年使ってはいないが…
目を閉じ、あの時の光景を思い出す。
掌に黒い光が浮かび上がってくるのが分かる。
「死ね!!」
顔を歪め、叫ぶ。黒いオーラがゆっくりと直進していく。そして禍々しいその黒い玉は拡大し、デーモン共を包み込むと、その周りの空間ごと消滅させた。
「やっぱり、そういう事ね。」
「え?」
岩石の上から様子を黙って見守っていたスレイヤーが口を開く。
「君からどす黒いオーラがバンバン出てる。負の塊のデーモン共も耐えられないほどの負の感情だ。
付いてきたい理由も多分復讐のためだろう。多いんだよねぇ、力もないのに。まぁ、仕方ないが…
でも、君は違う。力がある。まぁどんな力でも無いよりはマシだ。」
「じゃ、じゃあ!」
「いいだろう。合格だ。
うちの<事務所>に招待しよう。さぁ歓迎会だ!ついてきな。」
彼女について行くと1つの廃ビルに着いた。人がいるとは思えないほど、色んな階が崩れ落ちている。
そして彼女は両手を大きく広げこう言った。
「ようこそ!私たちの事務所
『ETERNAL』
へ!!」
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