ポジティブ☆スレイヤー

弾、後晴れ

第1話HELLO☆WORLD!!!

          世界が

 

          終わる



 誰もがそう思った。無理はない、なぜなら空と地上には無数の化け物、地上では人間がその化け物

たちによって肉片と化されていた。私は、底知れない恐怖で震えていた。


      純粋でとても深い絶望だ。


 そんな中、明るい少女の声が、飛び出す。


「HELLO☆WORLD!!!!」


 素っ頓狂で場違いな声の方を見る。そこに割れた窓に立っていたのは金髪の長い髪に整った顔、齢は17だろうか。そしてその手に持っていたのは、


 バカでかいショットガン...


 「さぁ…数年ぶりのパーティーだ!!」

 サングラスを投げ捨て、金色の瞳の少女は躊躇もなく化け物の群れに突っ込んで行く。

 その場にいた全員が、

 (死んだなこの子)

 と思いながら傍観していたが、その群れの中から聞こえてきたのは、化け物どもの断末魔と少女の笑い声と銃声、見えてきたのは血肉が飛び散る地獄の光景。頭が混乱している。

あの少女は誰なんだ

今私の目の前で何が起こっている

 そんな疑問を頭に浮かべているうちに、既に化け物共は全て肉塊とかしていた。その間、わずか10分弱。

 少なくとも、50体はいたはずだ。

「っと…。これで一段落だな…。」

 返り血に塗れた彼女の表情はひどく清々しく、部活を終えた高校生のように爽やかに見えた。

 「ん?なんだお前ら。何でこんなとこいんだよ。死にてぇのか?」

 こちらをジロと睨む。言動から察するに、彼女はどうやら私達のことは気にも留めていなかったらしい。

「まぁいいや」

 良くない

「巻き込まれたくないやつは離れてな。

これから、"カーニバル"が始まるからよ。」

 ニッとわらってそういった。

 しばらくした後、

「お、きたきた。」

 奥に化け物が見えた。前より...遥かに多い...100はざらにいる。

 前の大群が、前菜のように感じられた。目前に見えたメインディッシュを見つめる彼女の目はこの上なくキラキラしている。

「それじゃ、始めますか‼︎」

少女が再び、大群の中に肉食動物が草食動物の群れに突っ込むように突撃していく。そこで目にしたのはまさに阿鼻叫喚、少女の持つショットガンで粉々にされ、その華奢な身体からは想像できない程の怪力で化け物を八つ裂きにしていく。そして、とにかく素早い。次から次へと風のように走りながら化け物をミンチにしていく。飛んだり、急加速したり、急停止したり。まるで羽が生えているかのようだった。残り一体。

「さぁてと、…もう残りはこの子だけかぁ。

…腕貸せよ!!」

化け物の両手を引きちぎった。引き裂かれた腕の付け根から血がドバドバと溢れてくる。その光景を、私は口を開けて見ていた。

こうして、化け物の大群は全滅した。

 彼女はくるりと振り向き、呆れた表情を浮かべる。

「なんだよ。まだ逃げてなかったのか。もうショーは終わったぜ。さっさと避難しな。」

命の恩人だ。最後に、名前だけでも

「あっ、あのっ!」

「何だよ。」

勇気を振り絞り、質問を投げかける。

「なっ、名前は!」

「名前ぇ?んー…私自身の名前はないけど、仲間にはこう言われてる、


       ポジティブ☆スレイヤー


                  ってな。」




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