第24話 背後からの刺客
鼻を奪ったダッシュマイケルが早くも最初のコーナーを回り、インに切り込んでいく。これだけ馬群を引き離していたら多少斜めにコースを切っても
2馬身ほど離れてミスダイナマイト、さらにブラックアロー、ハヤテオウ・・・7番のサンクスギフトは少し後ろ目か。駿馬からは見えないが、後ろの有力馬には気を配っておく必要がある。第二コーナーをぐるっと右に回った。それまで最内にいたグランドシャークの漆黒の馬体が少しだけ外に膨らんだ。
イナカノベルトか・・・そしてダッシュマイケルはダイナーレディが駿馬に教えてくれたあたりにコースを取る。ミスダイナマイトはその間ぐらいのコースを取ったが、少し減速した。ダッシュマイケルの通ったルートをそのまま後ろからグランドシャークが追いかけ、ミスダイナマイトより前に出る。
1000メートルの表示板を通過。1分1秒。ハヤテオウは良馬場のほぼ平均ペースだ。駿馬は元の世界の競馬学校で嫌と言うほど体内時計を身に付けていたが、感覚というより頭の中にそれが浮かんで来た気がした。先頭のダッシュマイケルは59秒前半ぐらいか。
せっかくダイナーレディに教えてもらったが、イナカノベルトを進もうと駿馬が考えた瞬間、目の前に青毛の後ろ姿が飛び込んできた。サンクスギフトだ。入り込まれた・・・前の馬とコース取りに気を取られた隙に内側から加速されたのだ。
仕方なく最内から3頭分ぐらいにあるイナカノベルトをサンクスギフトの後ろから走るしかない。しかし、後続の他馬がハヤテオウを外側から追い越した。まさか・・・サンクスギフトは一時的に加速してハヤテオウを追い抜くと、減速して足をタメるシフトを取ったのだ。
外から二頭、三頭と追い抜かれたハタヤテオウ。その少し前でサンクスギフトが馬群に包まれないギリギリぐらいの位置どりで、外側から来る馬たちを牽制している。
先頭から11番ダッシュマイケル、1番グランドシャーク、13番ブラックアロー、8番ミスダイナマイト、7番サンクスギフト 、10番オヤマノタイショウ、2番アイドルバンター、5番パワフルウーマン、12番アラフォーチャン、そして10頭目に3番ハヤテオウと続く。上位人気馬に全て前を行かれてしまった。後続4頭はバラバラ続いており、ペースに付いていけてないか、追い込みにかけるかだろう。
残りの向正面をそのままイナカノベルトで行くか、ダイナーレディが教えてくれたコースでダッシュマイケル、ブラックアローの影を追うか・・・よし。駿馬は覚悟を決めた。
「(ハヤテ、ブラックアローの後ろに付けるぞ)」
幸いにもハヤテオウを外から追い越した馬たちはそのままブラックアローの内側を取ろうとしており、5馬身ほど前方のブラックアローの後ろは空いていた。駿馬が手綱で合図するとハヤテオウは反応良く外に膨らみ、ブラックアローとの差を少しずつ詰めて行く。わずか100メートルほどで内側に転じた2頭を差し返し、イナカノベルトを行くサンクスギフト にほぼ並びかけた。
それでこそハヤテオウだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます