第4話


 気が付くと自分の部屋に戻っていた。偉いなあ俺ちゃんと帰って来てるじゃないか。‥‥‥有紀は? 俺は有紀を置いて自分だけ帰って来たのか、情けない‥‥‥

すると、

「あら、目が覚めた?」

 有紀! 何でここにいる? 

「ああーその顔、すっかり覚えていないみたいね」


 有紀を怒らせたのか?

「潰れた貴方を店員さんがタクシー呼んでくれてここに来たのよ、自分のマンションの名前ちゃんと自分で言って、タクシーでここまで来たのはいいけど、どうしようかと思ったわ。でも自分でこの部屋に入って行ったのには驚いたけど」


「そうか‥‥‥有紀、悪い水をくれないか?」

「はいはい。リバースしなかった事は褒めてあげましょうかね」

 俺は水を飲んで有紀の顔を見る。

「すまない‥‥‥エスコート失敗だな。迷惑かけて、悪かった」

「そうね。ちょっと調子に乗り過ぎた感はあるわ。でも楽しかったわよ。ありがとう」

「有紀このまま泊まっていってもいいぞ。電車もうないだろう? 女性用の物は結構あるから好きに使ってくれ」


 クローゼットを開けると女性の服が沢山ある。それを見た有紀が

「これは何! どういう事! マルク貴方女性とここに住んでいるの!」


「ああそれは、この部屋の前の奴がそのままにしていって困っているんだ。実は前の住居人は女遊びが好きでここに連れ込んでいたんだよ。その為の着替えだってさ」

 有紀がそのクローゼットの服を見て驚く

「でもこれってみんな同じサイズよね。それに高級ブランドの服もあるじゃない」


 頭が痛い。酒に吞まれるなんてここ何十年なかったのになあ。

「マルク。下着まで揃っているじゃない。それもみな同じサイズって、その前の住人凄いわね、逆に怖いわ。同じタイプの女性を見つけてここに連れてくるんでしょう?」

「アイツの特技だよな。服の上からでもスリーサイズを当てられる」

 俺はソファーで横になったまま有紀と話す。

「その下着とか新品だぞ。アイツは同じ女とは寝ないから帰ったら補充してたんじゃないかな」


「それじゃあ、貰ってもいいかしら? 私のサイズと一緒なの」

 ええーーっ!

「ど、どうぞ。お好きに持って行って下さい。何なら全部どうぞ」

 俺は身体が起こせないので横になったまま言った。


「それではお言葉に甘えさせてもらってシャワー借りていいかしら?」

「どうぞ‥‥‥」

 睡魔が俺を襲う‥‥‥シャワーの水が流れる音が聞こえる。まるで子守り歌だ。

それから俺の記憶はない。









 

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