第四十三話 安息の日々。
翌日、いつもよりぐっすり寝られた。
快適な睡眠を取れた日は普段の憂鬱な学校でも気持ちよく登校できる。
やはり人間何よりも優先すべきは睡眠である、寝れば子供はよく育つし、大人は健康を維持できる。結局なんの不調も治すにはまず寝ることだし。
何が言いたいかというといっぱい寝られて気分がいい。
教室に入ると僕の席にバンドメンバーが三人とも集まっていた。
海はまだ少し怒っているような安心したような、無茶した子供を叱るお母さんのような表情で、凛音の方はひたすらニコニコしている。
声をかけながら近づくと三人ともこちらを見て挨拶を返してくれる。
冴月を見ると助けを求めるような顔でこちらを見ている。
多分僕が来る前に散々質問攻めにあったり海からお説教をくらったりしてたんだろう。
海は基本的に相手が悪い時は言い訳を許さないかなりグサッとくる叱り方をする。
ーーキーンコーンカーンコーン。
冴月が解放されたのは予鈴がなってからだった。
昨日冴月の家に行って学校に連れ戻したことは認めていただけたようで海からは
「まぁ、ご苦労様。」
とお褒めの言葉をいただき、凛音からは
「また来てくれて良かったね。」
とニコニコされた。
冴月はというと、久々に来たにも関わらず早速憔悴した様子で
「ーーおはよ。」
と、俯きながら少し口を尖らせつぶやいて自分の席に戻っていった。
少しすると先生が入ってきていつものホームルームが始まる。
一時はどうなることかと思ったけど、とりあえずはいつも通りの日々ってものが帰ってきたと思う。
ーーあ、軽音大会の決勝って結局出るのかな。もうほんとにすぐだけど……まあ、相談すればいいことか。
タイミングのいいことに放課後は通常なら練習が入ってた日だし集まってもらおう。
ちなみに明るい気持ちで始まった一日も一時間目の英語で解らないことがあって少しテンションが下がった。少しだけ。
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