第四十一話 無意識な残酷。
「え……、あー、え?」
思わぬ言葉で動揺して上手く反応できなかった。
聞き間違いでなければ、お前が好きだと言われた。
「--好きです。」
聞き間違いじゃなかったみたい。
さっきとは打って変わって今度は恥ずかしそうに俯いて言った。
「えーっと、それはあの、友達的な意味で?それとも恋愛的に?」
「恋愛的に。」
「あー……。」
どうしよう、どう答えるのが一番いいのかわからない。なぜだか誰かにお腹の中を触られているようなゾワゾワとした不安感が沸き上がってきた。
学校に来ない理由を聞きに来て告白されてしまうとは夢にも思わなかった。
--そうだ、理由を聞きに来たんだ。
「それがどうして不登校の原因なのか聞いてもいいですか?」
「え、なんでって、私が好きだったのにいつの間にか
全く気が付けていなかった、知らず知らずのうちに
誰でも好きな人が目の前で浮かれて、まるでこの世で自分が一番の幸せ者みたいな顔をして恋人の話をすれば、これ以上ない程に心が苦しいはずだ。
「--ごめん。」
空気の流れが全く止まってしまったように感じる重い沈黙に耐えられない。
無神経な振る舞いをしてしまった自分への後悔で潰れてしまいそうだ。
「いや、自分で言うのもなんだけど紬が謝るのは意味わかんないでしょ。私が勝手にキレただけだし。」
「そっか。」
和ませてくれようとしたのかと思って笑ってみるけど、口角なんか少しも上がらなかったし、聞こえるか怪しい様な小さな声しか出せなかった。
「あーえっと、どうすれば良いんだろうな。」
告白もそれがどうやって学校に来ないことにつながっているのかは聞くことができた。でも、だからこそ、聞いたからこそ何を言えば良いのかわからなくなってしまった。
僕には
だからって突き放して放っておくなんてことできるはずがない。
ーーどうすれば良いのかわからない。
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