第三十六話 熱意の衝突。

 順調な日々でも、何でもかんでもうまくいくわけではない。

最近はバンドのことがその一つだ。

うまくいかないとは言っても悪いことってわけじゃはない、最近はずっと全員が本気で取り組んでいる。

じゃあ何が問題なのか、簡単に言うと熱意があるから問題がある。

ちょっと簡単にしすぎたからもう少し細かく説明すると、今回の大会に本気なあまりメンバーそれぞれの意見がぶつかりあって口論にまで発展した。






 「つむぎ!また歌につられてバッキングのリズムズレてるじゃん。」


 「え?あぁごめん。気づかなかった。」


 「頼むよほんとに、何回も同じところ間違ってる。お美しい彼女さんなんかにかまけてるからそんなことになるんじゃないの?」


 「いや、それは……」


 「それは演奏のこととは関係ないよね冴月さつきちゃん。」


 「は?凛音りんねは関係ないから、私と紬が話してるの。紬様は最近彼女さんとイチャイチャしてもう大会のこととかどうでも良いんじゃない?」


 「冴月ちゃん、言い過ぎだよ。そんな訳ないって知ってるでしょ?紬は彼女さんが仲良くしてるからってバンドのことをテキトーにしたりしない。それにそもそも私生活をとやかくいう権利は僕らにはない。」


 「はいはい、凛音は紬に甘いね。みんな大会のことなんてどうだって良いんだ。」


 「冴月、言い過ぎ。落ち着いた方がいいよ。」


 「海ちゃんまで、ーーわかったよ。」







 こんな具合に僕のミスが原因で冴月と凛音が言い合って海が収めてくれた。

バンドのことはもちろんテキトーには考えていないし、あのあとも凛音は冴月の意見は間違ってると言ってくれたけど、確かに最近練習で失敗してるのは僕が多い。

だから冴月があれだけ怒るのも頷ける、それだけの熱意があるってことだから。


 「とは言っても急にはうまくなれないからな、とりあえず遅いし寝よう。」


 その日はしばらくぼーっと空を眺めていた。

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