第三十話 少女の艱苦。
「おはよー。」
「はよ。」
「相変わらず今日もテンション低いなお前。」
「うん。」
いつも朝は辛いけど悩みの種があるとさらに気が乗らない。
僕とは対照的に
雰囲気ヤンキーなんだから一時間目サボるくらいのことはしてもらわなきゃ。
「それで彼女さんとはどうよ?」
「んー、昨日の今日でどうもこうも……。」
「ばか
なんてことを言い出すんだこの女は。
僕と淡藤の絆はそんなもんじゃない!!!とか言ってみたり。
「破局して欲しいの?」
「……いや、そんなことは、ない、けど。」
なんだよ、急に言い淀んで。
「けど……なあに?」
「っんー!なんでもない!」
うわー、彼女がいる身でこんなこと考えるのもどうかと思うけど、冴月の上目遣い可愛いな。
今までしおらしいところなんて見たことなかったけど、こういうのもいい。
「はぁー、
「どしたん?」
昼休みに母さんが作ってくれた弁当を食べていると、朝と同じようにふらっと冴月が来た。
「冴月、本当に女の子で話せる人いないの?」
「いいんだよ、紬がいるし。」
「そんなことでどうすんだよ、大学行ったら友達作れんの?」
「紬と同じ大学行くから良い。」
なんかその勢いで同じところに勤めるとか言い出しそう。
「そんなこと言って、側から見たら彼女持ちの男に言いよる嫌な女だぞ。」
「え……、あぁ、ごめん。」
「いや、冗談だって、落ち込むな!」
「え?冗談かよ!本気で嫌がってるのかと思ったじゃん!」
今日は冴月が変だ。
普段なら冗談として軽く流してくれるのに、やけに気にしてる感じがする。
「別に嫌がりはしないって、安心せい。」
「うん、ありがと。」
なんなんだ、今日は冴月が女の子っぽいぞ。
「今日の冴月なんか元気無くないか?お前も悩み事?」
「はぁー?悩みならありますよ!それはそれはでっかい悩みがね!!!」
「なんでキレ気味?」
なんかしちゃったかな、でも冴月になんかした覚えもないしな。
「え、なんかしてたらごめん。」
「なに謝ってんだよ、バーカ。」
「えぇ。」
冴月が自分の席に戻ってしまった。
機嫌直してくれると良いんだけどな。
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