第二十三話 甘美な誘い。
「お待たせ、入っていいよ。」
女の子を部屋に入れるのって本当に緊張する。
高校受験に遅れそうだった時よりも急いだ気がする。
「お邪魔しまーす。」
「はい。」
淡藤が部屋全体を見渡してる。
大丈夫かな、子供っぽい部屋とか思われてないか?
「へぇー、男の子の部屋ってもっと物がごちゃごちゃしてるもんだと思ってた。」
「頑張って掃除したからさ。」
「頑張ってくれたんだ、偉いね。」
淡藤は僕の顔を下から見上げるようにしている。
うわぁ、この歳になって褒められて喜んじゃった。
でも仕方ない、こんな可愛い女の子にこんな言い方されたら誰でもこうなる。
「じゃあ、私たちは何しよっか?」
「え?どうしよう、なんも考えてなかった。」
ゲーム、は
僕の部屋にあるもので淡藤とできることはないかもしれない。
「あ、私さ、映画みたいんだよね。今日は一緒に映画見てまったり過ごそうよ。」
「良いじゃん、楽しそう。」
僕も映画はよく観るし、いろんなジャンルを見てる。
「じゃあ借りに行こっか、このお部屋プレーヤーある?」
「このゲーム機で色々観られるから借りに行かなくても大丈夫。」
「えー!?そうなの?今の技術って進んでるんだ、はぇ〜。」
淡藤はまるでおばあちゃんみたいな反応をしてる。
僕と一つしか変わらないのに、やっぱり知らない人からしたらすごいのか。
それはさておき、淡藤はどんな映画が観たいんだろう。
「何観たい?サブスクライブだから結構色々あるよ。」
「そーだなー、私達もう高校三年生と大学一年生でしょ?」
「うん、そうだね。」
「だからさ、ちょっと大人な映画観てみようよ。」
おぉ、大人な映画ってどんな、えっちなやつとかだとちょっと困るな。
でも淡藤と一緒に映画は楽しみだ。
「大人って、そういう映画あんまり知らないよ、僕。」
「私、映画に詳しい友達にお勧めしてもらったことあるから知ってるよ。」
淡藤はどこか自慢げに話す。
女の子って意外と友達同士でそういう話するんだな。
「じゃあこれ観てみようか。」
「オッケー、流すよ?」
早速二人でその友達のお勧めを見ることにした。
映画は妻を亡くしたお金持ちの家に家事代行の女が来る場面から始まる。
初めは二人ともただの仕事の関係だったが、妻を亡くして傷心の男を慰めようと女は男に迫る。
という物語だ。
絡み合う体の描写は生々しく艶やかで、理性を失ったかの様な二人の肉が規則的に高い音をたててぶつかり合って、互いを貪るように唇を重ねる。
観ている自分の顔が熱くなって紅潮しているのがわかる。
こんなのを観ていたからかすぐ隣に座っている淡藤が急に色っぽく見える。
急に
「!?あわ……。」
淡藤の手だ。
出かけた声はこちらを見つめる淡藤の目を見たら消えてしまった。
「どうしたの?紬、ほら、ちゃんと前見て。」
淡藤の声に背筋が震える、頭に直接届いてるみたいだ。
淡藤のてが僕の体を滑る。
もう映画になんて集中できない。
この前のことも、今日のことも、こんなことして、誘ってるとしか思えない。
でもあの淡藤がそんなこと……。
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