第二十一話 冒された脳髄。

れんさん、お待たせしました。」

 「大丈夫だよー。今日はよろしくね。」

 「ごめんなかける、色々教えてやってくれ。」

 「全然良いよ。蓮さんはアニメの趣味合うから話てて楽しいし。」


 知らぬ間に二人はずいぶん仲良くなってたみたいだ。

自分の友達が家族とも仲が良いってちょっとむず痒い気持ちになるな。


 「じゃあ俺はリビングにいるよ。」

 「いや、つむぎもいてよ!私たち電話するの今日が初めてなんだから。」

 「え?あ、そうなんだ。わかった。」


 てっきりもう何度か通話でもしてるのかと思った。

初めて声を聞くにしては普通に話せてたな、それくらい気が合うのかもしれない。


 「さっきちょっと練習させてみたらかなり上手かった。期待しといて。」

 「え、蓮さんってスポーツ万能な上にゲームもできんの?スゲー。」

 「ちょっと紬!ハードル上げるようなこと言わないで!」


 こんなことを話しながらしばらくの間、三人でゲームを遊んでいた。

二人もプレイに白熱して、楽しそうに話していたから、横から電話だけしてた僕もかなり笑って参加してた。


 「そういえばなんで蓮さんって紬のこと名前で呼んでるんですか?」

 「え?なんでかって、うーん、まあ色々あるんだけど、お母さんもこう呼んでるし。」

 「へー、紬ってお兄ちゃんとか呼ばれたかったりしないの?僕は一人っ子だから憧れるんだよね。」

 「えー俺は呼ばれたいけど、まあこれは兄にとやかく言われたくないかと。」


 翔は今の様子しか知らないからな。

今までの蓮にお兄ちゃんて呼んでなんて口が裂けても言えない。


 「あれ?紬友達の前だと一人称俺なんだね。」

 「え?あぁ、いつもは違うんだ。」

 「家族とかの前では僕って言ってるよね〜。カッコつけちゃてるの?」

 「いや、別にそういうわけではないけど、なんか仲良い友達に僕って言うのも変な感じがして。」


 しばらく前までは友達の前でも僕って言ってたけど、中学校に上がった頃から周りみんなが俺って言ってて。

それを意識したら急になんか恥ずかしくなった。

今考えれば別に気にすることもなかったけど、もうこれが自然な状態になっちゃったしな。


 僕の一人称に関するどうでもいい話なんかもしつつ、暗くなる頃に解散した。


 「蓮、今日どうだった?」

 「めっっっっっっっっっっっっっっちゃ楽しかった!これ買うわ。三人でもできるんでしょ?うわー楽しみなんですけど!」


 そうだろうそうだろう。

これが我々インドア派を蝕むインドア誘発剤なのだ。

これが一度体内に入れば抜け出すことは容易ではない!ほぼ不可能なのだ!


 まあそれはさておき、さらに妹と仲良くできそうだ。

兄妹仲良くゲーム……、なんて素敵な生活。

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