第十九話 秘密の友人。
今日は
ほとんど一ヶ月間も入院していたから、蓮も楽しみにしてるだろう。
「母さん、出発しよう。」
「紬、もうちょっと掛かるから先にあわちゃん呼んできてー。」
「わかった。」
淡藤の家までは5分もかからずに到着する。
電話でもいいけど、ちょっと驚かせてやろうかな。
淡藤の家はご両親が有名企業の共働きだから、実は淡藤はちょっとしたお嬢様だ。
家がデカい。
ーピンポーン。
「はーい。わ!紬君、迎えに来てくれたの?すぐ行くね。」
「うん。」
この前あんなことがあったばかりだからちょっと照れくさい。
「お待たせ、行こ。」
淡藤に手を引かれて早足で来た道を戻ると、母さんがちょうど車を出したところだった。
「お母さんおはようございます!蓮ちゃん退院できてよかったですね。」
「おはよう、あわちゃんもありがとうね。蓮ちゃんのこと色々やってくれて助かった。」
そんなことを話しながら車を走らせていたから、すぐに病院に着いた。
蓮はきっと母さんと淡藤の顔を見たらニコニコで駆け寄ってくるだろう。
まだ走れないか。
蓮は僕の予想に反して泣いていた。
正確には大号泣だった。
「びんだ、げんぎでで!だいいんじだら、びんだでばだあおおで。」
兄訳「みんな、元気でね!退院したら、みんなでまた会おうね。」
どうやら蓮の病室には同年代の子がほとんどだったらしく、僕の知らないうちにこんなに仲良くなっていたとは。
病室の子も蓮の涙に影響されたらしく、涙ぐみながらお別れの言葉を言っていた。
「お待たせ、行こ。」
少しして落ち着いた後、まだ少ししゃくり上げながらなんとか言った。
母さんと淡藤に付き添われて病院を出るとき、看護師さんにも声をかけられていた。
妹のコミュニケーション能力には目を見張るものがあるな。
車に乗って暫く走ると、蓮も元気を取り戻したようで、淡藤と話しだした。
「あわちゃん、今日の髪の毛かわいいね。今度私にも編み込みやって!」
「ありがと。蓮ちゃんの髪は長くて綺麗だからね、いくらでもやっちゃうよ。」
客観的に見ると、美少女二人がお互いの髪を弄りながら楽しそうに話している。
間に挟まってはいけない神聖さを感じる。
「そういえば紬、前に
「んぇ?ああ、
「うん、チョー詳しかった。」
僕に振られると思ってなくて間抜けな声が出た。
「ん〜、それって誰?私知らない人なんだけど。」
淡藤が話題に置いていかれてちょっと拗ねてる。
「紬の幼馴染だよ、私が勤めてた病院に入ってた子。」
「へー、紬くん、今度私にも紹介してね。」
「機会があればね。」
家に着いてからもリビングでお茶をしながら外が暗くなるで話をした。
子供の頃に戻ったみたいで楽しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます