第十八話 妖しげな鑑賞会。
学年が上がってからそろそろ三週間が経つ。
クラスが変わったり、色々バタバタしてるからか、時間の流れが早く感じる。
病院には学校が始まってからもずっと着替えを届けたりしている。
そのおかげか最近は淡藤がいなくても普通に話せるようになった。
「蓮、この前言ってたアニメ見終わった?」
「全部見た。ラストハッピーエンドかと思ってたら普通に誰ともくっつかずに終わってビックリなんですけど。」
「予想外だったけど、ああいうラストも面白くない?」
妹とアニメの話ができるなんて、蓮には悪いが怪我のお陰だ。
ちなみに蓮にアニメを勧めてきた友達は、今流行っているアニメしか見ていなかったようで、蓮の振る話題には着いていけないらしい。
そういえば
「蓮、僕の友達でさ、めっちゃアニメに詳しいやつがいるんだけど、最近蓮のハマってるアニメ全部見てるみたいでさ、ちょっと話してみない?ちなみに年下。」
「え?私そんなガチヲタクでもないし……。」
「もう十分楽しく話せると思うよ。」
「いや、うーん。」
あんまり乗り気じゃないかな?
「わかった、じゃあ蓮に連絡先だけ送っとくよ。気が向いたら声かけてみて。」
「それなら良いけど。」
この二人にはぜひとも仲良くなってほしいな。
二人とも別方向に尖っているから面白い化学反応が起こりそうだし。
「じゃあ今週末ね。」
「うん。」
ーピンポーン。
「はーい。」
「
この頃
「いらっしゃい。今日はどうしたの?」
「野暮だなー、紬君に会いにきたんだよっ!」
「えっ、……うん。」
直球で言われて、返事に困ってしまった。
「そうだ、今日はね、おすすめの映画持ってきたんだよ!ちょっとだけ大人っぽい内容だけど、紬君も高校三年生だから大丈夫だよね。」
「うん、ありがとう。じゃあみよっか、なんか飲む?」
「あ、じゃあお茶がいいな。実はねー、お菓子買ってあるんだよ。」
「おぉ!じゃあ後で半分出すよ。」
「いいよ、ショバダイ?ってやつ。」
「なんでカタコト、ありがと。」
こういうどこかに出かけるでもなく二人でゆっくりするのってすごく好きだ。
お茶の準備をして映画を観よう、うちのソファーは四人座れる大きさでかなり快適に映画鑑賞ができる。
「……っ!」
淡藤がすぐ隣に座ってきた。
お互いの肩が触れてる。
淡藤の熱が伝わってきて体が固まってしまう。
ドキドキする!
「この映画、なんかえっちだね。ちょっと恥ずかしくなっちゃう。」
「高校三年生に大丈夫って言ってたじゃん、淡藤は大学生でしょ。」
口ではこう言ったけど、思ったよりセクシーなシーンが多くてビックリした。
「えっ淡藤?」
「……。」
淡藤が手、握ってきた。
あったかい。
その後は二人とも喋らなかった。
「面白かったね。」
「うん。」
「楽しかった?」
「うん。」
「よかった。」
「またすぐ来ても良い?」
「もちろん。」
「じゃあ……、また。」
「うん、またね。」
淡藤は、僕のことをどう思ってるんだろう。
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