第102話センチメンタル・キス

北雄は昼からゆっくり登校する。


頭の中に津久茂依子と五宮フレイユの顔が交差する。


どちらにしようかな……。


越波神奈子ともはっきり別れたとは言い難い。


そうなると3択か……。


本命はもちろん五宮フレイユではあるが……。


溜め息しか出ない。


屋上に上がるとフレイユが柵から景色を見てる。


もういいだろう……いい加減。


「よう、元気か」


フレイユはびくっとして北雄を見る。


また顔が紅くなってる。


そんなに惚れられてるのか?


「ドラマチックにはいかんぞ」


「え?」


北雄は突進してフレイユを柵に押して強引に唇を重ねる。


フレイユは一瞬顔をしかめるが、顔を斜めにして口づけ返す。


北雄は舌をフレイユの舌と絡ませる。


フレイユは目をパチクリさせる。


だが、やがて穏やかな表情になる。


5分くらいキスは続く。


お互いゆっくりと顔を引く。


フレイユはぼーっとした表情。


「随分と強引なキスね」


「ドラマチックじゃないだろ……」


「でも気持ちよかった」フレイユは微笑む。


北雄はすかさずフレイユを抱きしめる。


「 ちょっと、人が来るわよ」


「あったかい体だ」


「しょうがないなあ……」


フレイユも抱き返す。


陽は出てるが、少し寒い。


フレイユは呆れた表情で太陽を見上げる。


2023(R5)1/24(火)



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