第71話 西園寺、もしかして怒っているの?
青山かほは、軽快な足取りで中に入ってきたが、やがて、この姉妹の存在に気づき、あっていう短い声を漏らしてから
一瞬、
西園寺せつなは口をキリリと結んで
いつ終わるのやらとソワソワしながらこの3人を交互に見ていると、青山かほは、長い脚を動かして俺のいるレジにやってきた。ショートパンツをはいているため、健康美溢れる褐色の美脚はより目立つ。
「先輩、お疲れ様っす」
「ああ。お疲れ」
「んじゃ着替えてくるんで」
そう言い捨てて青山かほは、更衣室へと消えて行った。別に問題になりそうなシチュエーションではないのだが、喉に何かがつっかえる気分だ。なんだろう。と、考えながら西園寺姉妹に目を向けると、この前のひがしむら珈琲店で見せた冷たい視線を二人は俺にまた送っていた。俺は、なんぞやと顔を
俺はぼーと西園寺姉妹が通った自動扉を見るともなく見ていると、まもなく、着替えを済ませた青山かほがやってきた。早く連絡事項を伝えて上がるとしよう。
「先輩」
青山かほは俺より先に口を開いた。
「めっちゃ綺麗な姉妹っすね」
「まあな」
やっぱり他人が見てもあの姉妹は別格だよな。と、納得顔で答えたが、青山かほは、さっき西園寺せつなに見せたのと同じく目尻と口角を釣り上げて、小悪魔っぽい口調で言う。
「なんの関係っすか?あっ、もしかして、あの小さな子って二人のこどm…」
「どう考えても違だろ。小さい子、ゆきなっていうんだけど、その子の家庭教師をしているんだ。俺が」
「へえ、そうなんすか?」
「そう」
「へえ」
青山かほは
このままだと青山かほのペースにまた巻き込まれるのは目に見えている。えいっ!連絡事項連絡事項。
「それより、俺もう上がる時間だから」
「あ、すいません!連絡事項がまだでしてね」
ふー。やっと解放されるのか。
X X X
青山かほに短く連絡事項を伝えたのち、着替えを済ませてから、コンビニを出た。
俺が周りを見回すとゴミ箱とは反対側にある
俺はこの二人に近づいて、持ってきたスポーツドリンク二つを渡した。
「あ、ありがとうございます!」
「暑かったよ」
二人とも、遠慮せずに受け取ると、すぐ
「家のエアコンで涼もうか」
「うん!行こう!」
俺の提案にゆきなちゃんは目を
8月も下旬に差し掛かろうとするが、太陽は熱気を出し惜しみせずに送り出していて、俺は肌が焦げ付く感覚を如実に感じている。げんなりしながら思わず二人の様子をチラッと見てみた。
不思議にことに、さっきのヘタっていた様子は一切なく、ゆきなちゃんは鼻歌混じりにテクテク歩いていて、西園寺せつなもいつもの調子で歩いてはたまに俺をギロリと睨んでくる。ふむ。つまり、西園寺せつなは元気になれば、俺を睨んでくるってことか。
まあ、以前からずっと気になっていたこどでもあるし、これは授業に問題を来しかねないことでもあるので、やっぱり確認しておいたほうがいいだろう。
「西園寺」
「え、は、はい!」
突然呼ばれて、慌ただしい様子を呈する西園寺せつなに、俺は気になっていることを口にした。
「もしかして怒っているの?」
「え?い、いいえ!そんなことはないですけど…」
西園寺せつなは
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