第81話 甘々ショート⑤
「私の方が好き」
「わ、私だって大好きです!」
今日は朝から惚気話。
どちらが好きか……なんて、幸せな事でお互いが主張を譲らない。
まぁ……私の方が好きだけどね。
「じゃあ……キス、我慢しよっか。我慢出来なくなった方が負けね」
「い、嫌です……でも私の方が好きなので……我慢します……」
負けてもいいやって思えるほど、可愛くて愛しい彼女。
抱きしめて、いつもどおりおでこ同士をつける。
目と目が合うと、理解する。
これは──
「こんなに近くにいるのにキス出来ないなんて……ふふっ、ヤバイね」
「……してくださっていいんですよ? 私の気持ちは例え日向さんでも負けませんから」
そう言った彼女の瞳は甘く蕩け揺らいでいる。
唇を少しだけ噛んでいるのは、我慢している証。
可愛すぎて私が持ちそうにない。
トイレに行ってくるときのキスも、お昼御飯を食べる前のキスも、ふとした時に目があったときのキスも、全て我慢した。
毎日何回キスするんだろうって、思わず笑ってしまい……ふと彼女を見ると、震えながら涙目で私を見つめていた。
もう……いいよね。
だからそんな顔、しないで?
どちらからともなくゆっくりと近づいたけれど……先に彼女から目を閉じて、私達はキスをした。
「私の勝ちでいいのかにゃ?」
「こ、これはキスではありませんから……引き分けです」
「ふふっ、じゃあなぁに?」
「…………チュウです」
「もー……私の負けでいいよ。雫、大好き」
好きだから我慢出来るし、好きだから我慢出来ない。
それでも、こんなに幸せな気持ちにさせてくれるのだから、負けでいい。
私が思っている以上に、私は想われている。
私から思い切りキスをして、とびきりの愛で抱きしめた。
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