第27話 甘々ベリーショート


 6月に入り、暑さは日に日に増していく。

 今日の食後のデザートは、冷蔵庫で冷やしておいたサクランボ。


 美味しそうに何個も頬張る日向さんが、とても可愛らしい。


 ふと動きが止まって、口の中をモゾモゾとさせている。

 

「見て、上手でしょ?」


 口から出されたサクランボの果柄は、何故か結ばれた状態だった。

 

「…………ふぇ!? ど、どうやったんですか!?」


「口の中でチョチョイって。雫もやってみたら?」


 言われた通りにするが、上手くいかない。

 そもそもどうやったら出来るんだろう……


「出来ません……どうやればいいんですか?」


「……こうするんだよ」


 初夏の味覚、サクランボ。

 お店で見る度に、幸せな感覚を思い出してしまい顔が紅くなる。

 つい手に取ってしまう自分が恥ずかしい。

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