第5話 ヤンデレ幼馴染のクリスマス
12月25日
今日は土曜日。普通だったら休みのはずなんだけど、課外授業とかいう意味不明な制度のせいで午前中だけとはいえ学校に行かなきゃいけない。
芽衣と登校できるのが唯一の救いだな。
いつも通りの登校。いつも通りの見慣れた教室。そこでいつも通り友人の
「よお、護!メリークリスマス!」
「ああ、おはよう」
『メリークリスマス』か……なんかニュース番組で言ってた気がするな。今日は一段とテンションが高い。何でだろうな?ただの平日なのに。
「護は学校終わってから何する予定?やっぱクリスマスだし、特別な「今日は平日だよ?」るんだろ……え?」
「今日は12月25日。土曜日。平日」
「いや、クリスマスだけど」
「…………?」
「こっちがおかしいみたいな顔すんなよ。クリスマスだよ。テレビでも言ってただろ」
「ああ、流行りなのかな?よく分かんないや」
「行事ごとに流行りもクソも無いと思うが……」
「あ、予定は特に無いよ。好きなvtuberが配信するみたいだから、それ観るくらいかな」
「……なんか外出ないの?」
「毎年、なんか手繋いでるレンタル彼氏・彼女利用者がいっぱいいるじゃん。人混みやばいから行かないかな」
「えっと……それ、カップルの事?」
「カップル?……なにそれ初耳〜」
「嘘つけ」
「そんな奴らが手を繋いでるとこ見たら、手首引きちぎってやろうかと思うね」
「怖ええよ。それは単純に怖ええよ」
まったく……外国で、大昔に居たにーちゃんの誕生で、そんなに大騒ぎするなんてさ。別に羨ましくないし。寂しくないし。
「てか、護には愛垣さんがいるだろ。てっきり一緒に過ごすのかと思ってた」
「い、いや、まあ、付き合ってるとかじゃないしさ」
「あ、もうそういうのいいよ。俺の中ではもはや付き合ってるも同然ってことになってるから」
「なんで」
「毎朝あんなイチャイチャしながら学校来てるのになに言ってんだよ。挙げていったらキリがないレベル。正直今すぐ告白しろって思ってる」
「いや、そんな」
「んで、約束とかしてないの?愛垣さんも誘われるの待ってると思うけど」
「……そうとは言えないじゃん」
「…………もしかして、誘う勇気がないとかそういう感じ?」
「……………………うん」
「まじか。お前愛垣さんに関しては物怖じしないとこあるから、意外だわ」
「だって、迷惑かもしれないじゃん。もう予定あるかもだし」
「……え、去年とかも誘えてない系?」
「去年まではお母さんが『うちにきませんか?』って芽衣のこと誘ってくれてたんだ。でも、今年はしないって。『そろそろ親を頼らずに自分でやりなさい』って肩たたかれた」
「うん、それはお前のお母さんに同意だわ。そこ親だよりはさすがに……やばいと思うぞ。今からでも大丈夫だから誘って来いよ」
「何て誘えばいいか分からないよ」
「なんか適当に飯行こうとかで良くね?その後は臨機応変に」
「臨機応変はアドバイスじゃない」
「まあ、無理矢理させるのは悪いけど……愛垣さんと約束してる男がいても不思議じゃねえし」
は?
「それ誰か心当たりある?」
「…………もし俺って言ったら?」
「……さよなら隅田くん。短い間だったけど、友達だと思ってたよ」
「俺なにされるんだよ。冗談だって。やっぱ護はこうだよな」
「はあ……変なこと言うなよ」
つい反応しちゃったけど、この顔はからかってるやつだ。少しウザめな顔。
「あ、もうこんな時間か。昼休みにでも誘っとけよ!」
「が、頑張るよ」
確かに芽衣を守るために……いや、これは僕が一緒に過ごしたいだけだな…………
「どうしよう誘われない……」
私は葛藤していた。護くんからクリスマスの誘いがないのだ。
確かに付き合っては無いかもしれないけど、運命で繋がれた私達がクリスマスに一緒にいないなんてありえない。いずれ一生離れることはない夫婦になるのだから。
私が誘った方がいいのかな?でも…………誘われたい!
まさか、他に用事がある…………いや、ないはず。
完全に把握できるわけじゃないけど、少なくとも隠しカメラと盗聴器には…………えーと……私が護くんを見守ってる間は、そんな素振りはなかった。
なんで!?なんでなの!?
「おはよう」
「ん……おはよう、
「まだ迷ってるの?」
「まだ、昼休みに言うつもりかもしれないし……」
優璃には昨日LINEでこのことについて相談した。まあ、結論が出ないまま終わっちゃったんだけど───────
芽衣『ちょっと相談いい?』
優璃『なに?』
芽衣『クリスマスは護くんと過ごす予定なんだけど……』
芽衣『まだ何にも誘われないの!去年までは三日前ぐらいに誘われてたのに!』
優璃『今、イブの夜じゃん。現時点で誘われてないのは……あやしくない?』(数秒後削除)
優璃『ごめん違う、サプライズ的なのじゃないかなってこと』
芽衣『サプライズとか準備してる様子が無かったの』
芽衣『その線は薄いかなって』
芽衣『私が誘わないとダメなのかな?』
芽衣『護くんから誘ってほしいというか、誘う気だったのにこっちから言うのもなって』
優璃『去年とかも誘ってたのに、今年だけってのはないと思う』
優璃『さすがに忘れはしようがないと思うし……忙しそうでもなかった気がするけどなぁ』
芽衣『だよね』
芽衣『直接ではなかったけど、毎年誘ってくれてたんだよ』
優璃『?』
優璃『どうゆうこと?』(【芽衣「直接では──」】をリプライ)
芽衣『声かけてくれたのはお義母さんだった』
芽衣『護くんちに遊びに来ない?って』
優璃『お母さんだと思う』(数秒後削除)
優璃『それ……夢次くん、母親に芽衣を誘うの任せてたんじゃない?』
芽衣『?』
優璃『クリスマスに芽衣を遊びに誘うのを母親に任せていた』
優璃『何らかの理由でそれが無くなった』
優璃『(親がその日他の人を家に招待するとか)』
優璃『それで、夢次くんが直接芽衣を誘うのが恥ずかしくて言えてない……みたいな』
芽衣『えー恥ずかしいのかな?』
芽衣『そうだったら可愛いけど……お義母さんに代弁してもらっただけだと思うよ』
芽衣『プレゼントとかもちゃんと準備してくれてたし』
芽衣『多分護くんが計画してくれたんだと思う』
芽衣『ほんとに嬉しかった』
芽衣『今年もしてくれると思うんだけど……』
芽衣『護くん、何プレゼントするか迷ってた感じだったから』
芽衣『だからこそ本当に分かんない』
芽衣『優璃の言う通り、恥ずかしいのかも?』
芽衣『優璃?』
優璃『ごめん、親が寝ろって』
優璃『芽衣が誘うのがいいと思う!』
芽衣『夜遅くまでごめん。おやすみ』
────────そして、現在。
「ただヘタ……じゃなくて、芽衣から誘って欲しいのかもよ?」
「んん〜そんな気もしてきたけど……うん、そうだね。昼休みに誘うよ」
「まあ、頑張ってね」
「うん!」
ヤンデレ幼馴染は両想い あるとぷ @820desaayatogapassworddayo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ヤンデレ幼馴染は両想いの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます