第4話 ヤンデレ幼馴染のファンクラブ
3時間目 英語での、睡魔との戦いを終えて昼休み。英語眠すぎる。1限だろうが6限だろうが眠い。google、yahoo 、youtube 以外の英語を見ると頭が拒絶反応を起こす。時々芽衣に気を配ってなかったら落ちてただろう。お察しの通り、僕は英語が嫌いであり、苦手である。あんなのまじわけわからん。
「護くん、ご飯食べよっ!」
「ああ、食べよっか」
芽衣はいつも僕の席に来て、一緒に昼食をとる。二人とも弁当なので、教室で食べる。半数以上の生徒が学食勢なので生徒はあまりいない。周りの雑音が少ないので、芽衣の美声がよりよく聴こえる。素晴らしい。
「いただきます!」
「いただきます」
もぐもぐ。芽衣はほんと美味しそうにご飯を食べる。見てるだけで幸せな気持ちになる。いつか僕が作った弁当を食べて欲しい……いや、僕不器用だからなぁ…もしまずいもの食べさせてしまったら死にたくなるし、優しい芽衣は残念な味でも『美味しいよ』って言ってくれそうだし……やめておこう。この愛らしい天使には不快な感情なんて必要ない。…………ほんと可愛いなぁ。
「?……どうかした?」
「な、なんでもないよ」
じっと見つめすぎた。
「あ、護くん今さっきちゃんと黒板とってた?なんかボーッとしてたように見えたけど……」
「…………後で板書写させて」
「もう、しょうがないな〜」
「あの先生の授業めっちゃ眠くない?英語の時点で眠気やばいのに」
「内職すればいいよ。正直授業受けるより自習した方が早いし。私英語の授業で英語の内職やってる」
「英語してるだけで睡魔が襲ってくる」
「それならテスト前に私が教えてあげる。毎回『先生』してあげてるじゃん」
「いつも迷惑かけてごめんね」
「大丈夫、教えるのって意外と覚えられるから。こっちとしても勉強になってるし」
やっぱり芽衣は優しいなぁ。僕も芽衣の手をわずらわせないように頑張らなくちゃ!……まあ、芽衣から勉強を教えてもらうっていうのはとても捨てがたいけど、それでもあんまり負担はかけたくないし。明日から勉強しようかな。明日から。
芽衣との幸福な食事が終わり、僕が教室から出ると、知らない奴が話しかけてきた。
「夢次くん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「何?てか誰ですか?」
十中八九芽衣に近づこうとするゴミだと思うけど。教室にいた時もちょっと視線感じたし。
「え、同じクラスの鈴木だよ。分からない?一応学級委員なんだけど」
「ごめん、覚えてない」
たぶん一度も話したことない奴だよなこいつ。関わらない人のこと覚えてるわけないじゃん。隣の席の人の名前だって喋ったことないから覚えてないのに。
「まじか……まあ、いいや。夢次くんに聞きたいことあってさ」
「はぁ」
「前はただの幼馴染だって噂で聞いたんだけどさ、今って愛垣さんと付き合ってるの?」
「え?付き合ってないけど……なんで?えっと…………君、芽衣のこと好きなの?」
「まあな。アイドル的な存在としてだけど。知らないかもだけど愛垣さんのファンクラブがあってさ、それ俺と友達で作ったんだよ。まだ名前も決めてないけどな」
「…………へぇ、そうなんだ」
「あんまり引くなよ。お前からすると幼馴染のファンクラブなんて気持ち悪いかもしれないけど、少し
『仕方ないって』?……その気持ち悪くて、害しか及ぼさない、ゴミ組織を生み出した張本人が何を言ってるんだ。
「俺らからしたら愛垣さんと夢次くんが付き合ってるかってとても気になるから聞きたかったんだ。ま、それは全校生徒が気になることかもだけど。とにかくそれ知りたかっただけだから、じゃあね!」
「さようなら」
「あ、夢次くん、LINE交換しない?これから仲良くしようぜ。昔の愛垣さんの話とか聞きたいし」
目的の100%後半だろ。する訳……いや、こいつの端末を使えばファンクラブとやらもどうにかなるかもしれないな。芽衣の安全が最優先だ。気はあまり進まないが……
「こちらこそお願いするよ。クラスメイトとの繋がり多くないから。スマホ貸してくれる?」
「おう、ありがと」
それから惰性で授業をうけ、芽衣と一緒にアニメの話をしながら下校して自宅に到着。すぐに奴らを潰す準備を始める。パソコンを開いてスマホと繋げる。すでにデータは作ってあるから、時間はかからない。あとはLINEに送るだけだ。『よろしくお願いします』と打って、URLをくっつける。お、既読がついた。
『こちらこそよろしく』
『これ、何?』
『さっき見つけた動画。面白かった。見てみて』
『わかった』
このURLを調べると、YouTube で適当に拾ってきた動画をコピーしたものが流れる。嘘はついてない。ただ少し厄介なものもついてくるけど。…………あ、ラッキー。こいつのTwitter ずっと使ってないらしい。初めてすぐ飽きたって感じか。ここからは明日…あの……なんとかくんが部活に行っている時間に終わらせよう。
後日。僕たちは放課後、全校集会で体育館に呼ばれた。
こういうのホントだるい。なぜ放課後にする。授業1つ無くせよ。学生の貴重な時間を奪うな。こう思っているのは僕だけじゃないはずだ。ほら、同志の
「護ー、超めんどくさいんだけど。どうせ俺らに関係ない話だろ」
「多分な。どこかのバカがやらかしたか、うざいクレーマーが怒鳴り込んできたか。はよ終わって欲しい」
「それな」
「あー、この列って何順かわかる?」
「適当じゃね?高校になって唯一いいと思うことだな、順番適当でいいの」
「確かに楽だな」
とても憂鬱だったけど、全校集会の内容はそれなりに聞いた。とある生徒がTwitter に不適切な画像を投稿して炎上したらしい。それの注意喚起だった。風の噂によるととある女子生徒へのストーカー行為を示唆するような言動をしたライングループのスクショだったようだ。まあ、その女子生徒はもちろん芽衣じゃない人にしたし、そのグループは何かしらの警告をされてなくなるだろうし。ニュースになったりせずにどうにか収まりそうだし。僕にとってなんの問題もない話だった。
下校の時の護くんの雰囲気が少し違った気がした。それにあの目。何か勇気を出して行動するときのとってもかっこいい目。あの目に見つめられるとドキッとする。昔、私を助けてくれた時の安堵感と胸の高鳴りを思い出す。やっぱり護くんは最高!!大好き!!!
でも……無理はしないでほしいなぁ。私たちの進む道を塞ぐものは私がなんとかしてあげるから。そうは思いながらも護くんに寄りかかっていたいという矛盾した気持ち。妻としてちゃんと護くんを支えていかないといけないのに……でも護くんがカッコ良すぎるんだもん。
私はいつでも護くんを応援してるから!パソコンに熱中している画面越しの彼にエールを送った。
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