第2話 ヤンデレ幼馴染は登校中
午前7時00分
アラームが起動。いつもと同じ朝が始まる。アラームを止め、寝ぼけた頭で一階へ降りる。
「あ、護おはよ〜 朝ごはんできてるよ」
「おはよう…ありがと……」
「昨日何時に寝たの?とっても眠そう。顔洗ってきなさい」
「うん…」
洗面所へ向かう。朝のルーティン。顔を洗い、ご飯を食べて、学校に行く準備をして……7時30分。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい」
徒歩で学校に向かう。家から学校までの距離が短いので余裕で間に合う。もちろん自転車で行ったほうが早い。でも、入学してからずっと徒歩で通学している。なぜなら─────
「あ、護くんおはよう!」
「おはよう芽衣」
彼女と一緒に登校できるからだ。彼女はいつもこの時間あたりに家を出る。今日も相変わらず美しい。ゴミどもはいつ天使に群がってくるかわからない。僕が彼女と一緒に行動してこの美しさを守るんだ。
「護くん、ぼーっとしてどうしたの?」
「いや、何でもないよ。行こっか」
「うん!」
二人で通学路を歩く。
「あ、護くん」
「何?」
「今日確か古文の宿題あったよね。やった?」
「あ、忘れてた」
「昼ご飯食べた後、教えようか?」
「ああ、頼むよ。ありがとう」
よし。これで昼休みの後も彼女と一緒にいる口実ができた。陰ながら見守っていたところを彼女のストーカーかなんかと勘違いされたくないし、ちゃんとした理由を持っていたほうが行動しやすい。まあ、無理矢理用事を作るのは彼女を不自由にさせてしまいそうだからしないけど。古文の宿題忘れてたのは偶然だし今回はいいだろう。
芽衣と他愛のない話をしながら学校に向かった。
午前6時30分
『芽衣、起きて』『芽衣、起きて』『芽衣、起きて』ピッ
目覚ましを止める。朝から愛しの護くんの声で起きられるって幸せ。寝たふりをして彼を騙してでも録音して良かった。こんなことしてごめんね、でも朝一番に聞く声は護くんのじゃないと嫌なの。将来的には生声で起こして貰おうかな。そんなことされたら抱きしめちゃうよ。それから自然と見つめあって、おはようのキスをして、明るいうちだけどベットの上だから──
ってダメダメ。自分の世界に入るところだった。
1階にあるリビングに向かう。スーツ姿のお父さんがいた。ちょうど仕事に行くところらしい。
「あ、芽衣起きたのか。おはよう。父さんもう仕事に行ってくるから」
「ん、芽衣おはよ。トイレと顔洗い、ぱっぱと済ませなさい。はいあなたこれ弁当。いってらっしゃい」
「ありがとう。行ってきます」
「「いってらっしゃい」」
言われた通りトイレ 顔洗いを素早く終えて朝ごはんを食べて、自分の部屋に戻って昨日したけど学校の準備ができてるか確認────っともうこんな時間か。
午前7時00分
パソコンを起動する。とあるアプリを起動して、ヘッドホンを着ける。
『ピリリリ ピリリリ ピリリリ ピッ』『朝か…眠……』
よしよし、護くん今日も時間通りに起きた。護くんは朝に弱いらしい。控えめに言って超可愛い。抱きしめたい。まあ、どんな護くんも魅力的だけど。
私が何故この素晴らしい声と映像が観られるのかというと、護くんの家にお邪魔したときに盗聴器と隠しカメラ……いや、見守るために必要な道具を置かせてもらったからだ。犯罪じゃないし。別に本人に言ってないだけで運命共同体である私達にとってお互いを知ろうとすることは公認みたいなものだし。必要なことだし。
護くんリビングに向かってる。使っている盗聴器を切り替えて……
『あ、護おはよ〜 朝ごはんできてるよ』
『おはよう…ありがと……』
『昨日何時に寝たの?とっても眠そう。顔洗ってきなさい』
『うん…』
はい可愛い〜 とっても可愛い〜 『ありがと……』って!気を許してくれている感!もうそれは「襲っていいですよ」って言ってるようなもんでしょそれはもういいんだよね今からしよっか学校なんて休んで大丈夫だから
っと危ない危ない私に言ったんじゃないんだった。私は自分の世界に入りすぎると周りの音が右から左に流れるってお母さんに言われるし、注意しないと。護くんの朝の尊い声は絶対に聞き逃さない。
『行ってきます!』
護くんの元気な声が聞こえた。うんうん元気だねいい子だね行ってらっしゃい。私も一緒に行く!
パソコンとヘッドホンを片付けて、学校バックを持って玄関へ向かう。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい」
このタイミングで家に出れば……っといたいた。
「あ、護くんおはよう!」
「おはよう芽衣」
二人で学校に向かう。
そういえば護くん昨日……
「あ、護くん」
「何?」
「今日確か古文の宿題あったよね。やった?」
「あ、忘れてた」
「昼ご飯食べた後、教えようか?」
「ああ、頼むよ。ありがとう」
昨日護くんの部屋で勉強してるとこ隠しカメラに映ってなかったから忘れてるのかな〜って思ったんだけど、やっぱりやってなかった。これで昼休みは一緒にいられるね。もちろん理由がなくても一緒にいるけど。
愛する人とおしゃべりしながら登校した。
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