第18篇AFTER THE GATHERING

酒と煙草の煙りと

汗と香水の匂いが

漂い流れてゆく

世紀末の絶望を予感し

表現することで満足する者達は

さして気にもならないし

苦笑いも浮かべず

目を輝かせていたことだろう

ただ外に向ける顔を

自然に放置していた者達にはぐるぐる回って

頭をかかえこむぐらいのことなのかもしれない


気ままな預言者達には

それなりの報酬なのだろうし

ただ外に顔を向けていた者達は

ずっと沈黙を恐れ

ぶるぶると震えたままだろう


宴のあとの空白は

誰もが嫌い

誰もが受け入れる

思い出に分け入れることで

全身が締めつけられるように


本能だからと

武装を施し

退廃的に走った時代ー


自由を主張した末に

白い衣類で顔までも覆った人々が

回りに見守る中

救世主の臨終床の側で

天井からさらさらと

流れ落ちるような

白い灯りの中

屈み込み

ひれ伏せる


宴のあとの空白を満たすものは

宗教に身を委ね

祈ることだけなのかと

誰もの頭をよぎっていく


一昔前には

男と女の間に

透明の薄い壁が布いてあり

お互いに

手を伸ばし合うのだが

決して届きはせず

腹を抱えて笑い合い

怒り合い

黙り合い

頂点へ登りつめる

そこで男と女は

閃光と空白を垣間見る


宴のあとに大地の女神が

夜明けの地平線の光の中で

微笑んだのかどうか

誰も分かろうとはしないというのに


ただ聖母マリアや

キリストや

ゴーダマ・ブッダや

アラーの神は

それぞれの世界から

呼びかけ続けることだろう


宴のあとに大地の女神が

夜明けの水平線の光の中で

微笑んだのかどうか

誰も分かろうとはしないというのに


1985(S60)1/10・2/28

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