第14篇SUMMER SUMMER SUMMER

どっかの学校の教師が喋ってた

道端の占い師が喋ってた

ケーキ屋のお姉さんが喋ってた

近所のおばさん達が喋ってた

年上のヒッピーが喋ってた


祭り 帰りのピザ プール

電車 カレー 旅行


眩いばかりの街並

太陽は笑ってる

寺を抜けると田んぼは続く

二畳の部屋に机が置かれ

動き回り 喉が渇き 汗が出て

夜は御座の上

風鈴の音

静寂の空気



眠り易い季節

合唱の季節


歌声 雑誌の山 学生服

昼の放送 夜の電車 晩御飯の残り


教室の騒ぎ

昼休みの運動場

夕暮れの図書館

感情的な夢と冒険

嘘の駆け引き

食卓の騒音

夜も駆け回り

朝も駆け回る


雪合戦の興奮

白銀世界

こたつは麻薬 母なる寝床


朝のラジオ ヤカン コーヒー

テレビ 蜜柑 映画


ときめきの聖夜

夢心地の聖夜

レコードの音

蝋燭の火

毎晩オールナイト

格別の夜


門の看板 金網 枕元の本の山

桜並木 ボードゲーム 布団


人がいた

信号が青に変わる

平凡な日常

目には見えない愛情


いつの間にか終わってしまう春

風とともに

雨とともに


何も残さず


頭はぼやけ

空しさは募るのみ……



夏の日差しに

夏の夜の蛍が飛び交う

ゆかた姿があちこちに見える風情に

眩しく

輝くばかりに


行ってしまう

夏は行ってしまう

眩しくて目も開けられない

日差しとともに

夏の夜の蛍が飛び交う

ゆかた姿があちこちに見える風情とともに


行ってしまう

夏は行ってしまう

眩しくて目も開けられない

日差しとともに

夏の夜の蛍が飛び交う

ゆかた姿があちこちに見える風情とともに

ああ夏が行ってしまう



夢は終わった……



いつでも思っていたこと

それで済んだこと


1984(S59)5/1・6/1

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