後悔が残る初恋

@nana0912

後悔

小学生の頃、好きな女の子がいた。サラサラとした黒い綺麗な髪に、透き通るような白い肌、それが少し儚げで魅力的だった。そして勉強も得意で、あの子と話すきっかけが欲しかったから、勉強をよく教えてもらっていた。

幼い頃は恐れを知らず積極的だったから、よくあの子の家に遊びに誘いに行ったが、あの子は習い事を多くしていたから遊べない日が多かった。

そんなある日、あの子の家を訪ねたら習い事のレオタードを着てあの子が出てきた。そして遊べないことを謝った後、ふと思いついたように手に持っていた食べかけのお菓子を手渡してくれた。

それは今までで1番大切に食べたお菓子だった。

だがそんな思いやりにあふれて真面目なあの子に陰りが見え始めた。

同じ地域の中学校に進学して、僕は思春期真っ只中になっていたから照れ臭くてあの子とあまり関われなくなっていた間に、あの子の交友関係が中学生になった後は変わり、少し悪めの連中と関わるようになった。

かつては上品だった立ち振る舞いや喋り方も、新しい友人たちに感化されたのか少し下品になってしまい、問題行動も起こし始めた。

幼い頃から習い事や勉強で抑圧された反動で反発してしまったのか、中学生の時分が本当のあの子で幸せだったのかな、照れ臭さを乗り越えて関わり続けていれば何か変わったのかな、などと後悔の残る僕の初恋だった。

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