第14話 守りたいもの
【死罪だ死罪】
「黙ってて。集中してるから」
【逃げるなら今のうちだが? キサマの力では野垂れ死ぬだけだぞ】
「逃げないし死なない。私が死んだら……フィオルが悲しむし、フィオルを守る事さえ出来ないから」
◇ ◇ ◇ ◇
「ミロス大丈夫かな……アストライアも私がいないと……」
「ふっふっ、大丈夫さ。啀み合ってはいるが……似た者同士、上手くやるであろう」
心配なんだけど……でも、それ以上にミロスが触れた唇が熱く火照っている。
いったいどんな魔法を使ったのだろう……
どうしたらいいのか分からなくて只々狼狽えていると、鐘の音が会場に鳴り響いた。
それと同時に、闘技場に禍々しい球体が現れた。
◇ ◇ ◇ ◇
「なにコレ、気配が魔物っぽいな。なぁアホ杖、これって……アホ杖?」
【……キサマの敵う相手ではない。生き残る可能性はゼロだ】
「なんでだよ。そんなにヤバいヤツ? っていうか普通に逃げれば…………ウソでしょ? 魔法壁が……」
◇ ◇ ◇ ◇
「ガルド、魔法壁が闘技場全体に張られて中に入れないよ!!? なんだろう、凄く嫌な予感がする……」
胸騒ぎが止まらない。あの黒い球体は何だろう……
ミロス、アストライア、メルクス……みんなの為に私は何が出来るのかな……
「この強力な魔法壁、こんなことが出来るのは……番号持ちしかおらぬ。私が全力を出せば壊せるが……会場全てを巻き込んでしまう。これだけ大勢の人間がいては……」
「…………っ!? 嘘……でしょ……?」
闘技場内で私が見た光景……それは、忘れることのできないものだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「お、おいアホ杖……あの球体人を食ってるぞ……?」
【動くな。動くと……ホレ見ろ。あの剣士のように魔力を感知され襲われる】
「へぇ……つまり私達は直接見えてないって事ね。どうすれば……」
【…………我をヤツに突き刺せ。我にはフィオルの魔力が溜め込んである。暴発させれば何とかなるだろう】
「……お前はどうなるんだよ」
【…………知らん】
「癪だけどさ、お前がいないとフィオルが悲しむんだよ。それくらい分かるでしょ? 私は……私はフィオルが好きだから、だからフィオルの好きなもの全部を守りたい」
【…………そこまで言うなら何か考えがあるのだろう?】
「やるだけやってみよう。ふふっ、フィオルの真似だけどさ……行くよ、アストライア!!」
【仕方ない……やるぞ】
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