① 平安京(暁闇ぎょうあん

   ──俯瞰で。

   七月の暁闇。碁盤目の美しい平安京。

   T、全て縦書きで。

   T『平安京』

   視点、徐々に朱雀大路に下りて行って。

   T『天喜二(一〇五四)年』


② 大内裏・朱雀門前(暁闇)

   東天に向かって、ぐーっと体を伸ばし

   て大欠伸をする舎人A。

   舎人A、細く目を開く。と、気づいて

   瞠っていく。その瞳の中に超新星の光。

舎人A「(深刻に)……おい……」

   舎人Aの視線を追って東天を見上げる

   舎人達。瞬間、ヒッと息を飲む。


③ 朱雀大路(暁闇)

   遠くに朱雀門が見えている。

   不安顔で東天を見上げている京の人々。


④ 内裏・ぎょうしゃの庭(暁闇)

   ──俯瞰で。

   七月の美しい庭。飛香舎(藤壺)の中、

   中宮(しょう内親王)を守る様に寄り添

   っている女官達。皆、怯えた顔で東天

   を見上げている。中宮の顔は御簾に隠

   れて見えない。


⑤ 同・清涼殿(暁闇)

   紫宸殿に歩いて行く後冷泉帝(後ろ姿)。

定家「(OFF)後冷泉院、天喜二年四月中旬

 以後の丑の時、客星かくせいしんの度にづ」

   T『後冷泉院 天喜二年 四月中旬以

    後 丑時、客星出觜参度、』

   ※『明月記』藤原定家著の引用である

   が、『四月中旬(旧暦)』は『五月中

   旬(旧暦)』の誤りと考えられており、

   季節設定は同じ天体を記録した『宋史』

   巻五十六「天文志第九」に準じている。

──────────────────────

⑥ 同・南庭(暁闇)

   ──遠景で。

   後冷泉帝、紫宸殿から現れて、階段を

   下りて来る。

   右近の橘、左近の桜共に七月の美しい

   緑。


⑦ 同・紫宸殿の階段(暁闇)

   足を止めて、東天を見上げている後冷

   泉帝(後ろ姿)。その視線の先、東天

   に明るく輝く超新星(M1かに星雲)。

定家「(OFF)東方にあらわる。天関星にはいす」

   T『見東方、孛天関星、』


⑧ きよみずやま・山頂(暁闇→夜明け)

定家「(OFF)大きさ、歳星さいせいの如し」

   T『大如歳星』

   東天に明るく輝く超新星(M1かに星

   雲)。T.Bして、超新星を見上げてい

   る少女(九歳程度・後ろ姿)。白衣びゃくえ

   はっ姿。同時に稜線が明るくなって、

   夜明け。

   縦書きで作品タイトル、

   作品T『ほしのひと』



                『序』終

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ほしのひと 佐久良 燎 @Kagari-Sakura

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