第378話 2015年8月 23

「どう?」


「ああ……ギリギリセーフ? かな」


「まあ、何処までギリギリ狙うかが課題だったけど、けんたろーに迷惑かけてもな、っておもったら、なんか無難なとこに落ち着いちゃって、今思うと、どうかな? もうちょっと狙えばよかったかな」


薄っすらと微笑むリリィさんが俺の隣に座って、深く息を吸った。


俺を見つめ……

手を握って……


「……けんたろうー……


さっき、あなたの言った、家族になろうって言葉……

私……

本気にするよ……


いいの?……


私……この通り4年間たっても、ちゃんと約束を守る様な真面目な子だよ。だから……


いい加減な気持ちで言ったとしたら、私……


許さないよ……


そん時は……

ホントに永遠にお別れだよ……


私……


そういうところの冗談は通じないよ……


いいよね?」


「ああ、もちろんだよ……

君の気持に寄り添えてなかったね……

ゴメン。


俺は、君がずっと子供だと自分に言い聞かせてたんだ。

子供だから……

子供だから……

子供だから……


全部、そのせいにして、考えなくていいように……

いなくなっても、悲しまなくていいように、自分で予防線を……

違うね……

君の気持を本気にしない様に、踏み込まない様にしてきたんだ。


でも、やっぱり限界だ。

俺は、知っている。

自分の事なんだから、分かっている。


俺は君を……

リリィさんを愛している。


もう一度言うよ。


俺の家族になって欲しい。

永遠に別れの来ない家族を俺と作ろう……」

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