第369話 2015年8月 14

「すいません……

篠塚さん……

戻ってますか?」


「ああ……

どうしました?」


リリィさんの寮に俺は……

女子高生の巣窟に出向き、寮母さんと玄関口で立ち話をしている。

時折、興味津々な女子高生が俺の周りを行ったり来たりする中……


「佐藤さん……

本来、寮生の事はお話しできないんですよ。ご存じですよね?」


「はい」


「それに、夕方、あなたが迎えに来てたんじゃないんですか? それなのに、戻ってますかってのは……理解に苦しむんですが……何かあったんですか?」


「はい……すいません。

途中で、喧嘩してしまって……人込みで見失ってしまって……」


「そうですか……

でも、戻ってるかって聞かれても、私は答えられませんよ。年頃の女の子ですから、セキュリティは万全でなければ、ならないので……」


「はい」


「それでは、お引き取り願えますか?」


「はい……


もしも、戻ってるなら、戻ったら、連絡くれるように伝言願えますか?」


「承知しました。連絡するかしないかは彼女次第ですよ」


呆れた感じで俺を見る寮母さんは、そう言って、とっとと帰れと体現していた。

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