第206話 東京3

国産の高級セダンが店に横付けになった。

俺は直ぐにドアを開ける。


「いらっしゃいませ、中へどうぞ」


客を素早く店の中に誘導して、車のドアを閉める。


「お疲れ様です。お後30分で上野までの予定です」


送迎車のドライバーに予定を伝えておく。ウチの店は送迎車数台を複数の店で契約している。言っても言わなくても結果は同じなのだが、先の状況を把握できる事に問題は無いだろうと俺は考えてドライバーに伝えるようにしている。


「ああ、今の時間なら鶯谷駅の方が早いよ」


「それじゃあ、その時にお客様と相談願います」


「了~解」


ドライバーは軽く手を上げていなくなった。

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