第207話 東京4

店の前のそれほど広くない道路、車のすれ違いがギリできるくらいの道路に送迎車のいなくなった道路の向こう側で……


視線を感じた。


そう……

ここの界隈は、近くに駅がない。いや、東京都内の基準で言えば近くに駅がない、というのが正しい。


だから、ここを歩いている人は、地元の人くらいしかいない。金曜の21時を過ぎたこの界隈を歩く女性などは、この街に関係のある事が多い。それにしたって大概タクシーか店の送迎かで最寄りの駅まで行くのだが……


そして、その道端で俺に視線を落として佇む女性が、俺の視界に入って、それを、その人を俺が見た時、その人は、俺に手を上げて、手を振って、道端から5m程度のそこから駆け寄って俺に抱きついてきた。


「健太郎!!」


甘い匂いのする、俺の大好きなあの人……


レイアさんだった。

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