第155話 おじさん3

私は勘の良い方だ。決して、私は鈍くない。


そして、けんたろーのしたい事をまず考える。だから、私はあえて踏み込むことはしない、でも、けんたろーの気持ちもわかる。簡単だ。ここに来たという事実が全てを物語っている。


この白髪頭の白衣を着た目の悪いおじさんは、背格好がけんたろーにそっくりで、おちついた声の感じもそっくりで、優しい感じがする。13年前に15歳だったけんたろーを捨てて、どこかの大好きな女の人と消えていった、けんたろーのパパだ。


私は、このお家に入るときに確信していた。


「ほかに聞きたい事はない?」


「え? 聞きたい事か……」


おじさんは少し上を向いて、考え込んでいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る